キティホーク乗艦記(中編の3)
中編の2の続編。
飛行甲板上では発艦準備が整った。緑色のジャケットを着たカタパルト要員が準備完了のサインを送る。いよいよホワイト大佐のテイクオフだ。合図員がGOのサインを送り、重量20トンの飛行機を一瞬にして時速300キロ以上に加速する。すごい迫力だ。映画で観るシーンとはまるで違う臨場感がある。カメラのシャッター速度を速めてもとても静止できない。あっという間に彼方へ飛んでいってしまった。
アメリカの象徴である白頭ワシを尾翼に描いたホワイト大佐の僚機もアフターバーナーの赤い炎を残して発艦していく。カタパルトから打ち出されると艦首側のカタパルトに乗っていたホーネットも同時に飛び出していった。ともかく手際よい。次から次という感じ。パイロットや甲板要員の熟練度は相当に高いとみた。
引き続いてEB-6Bがカタパルトにセットされる。本艦の左舷側を寄り添うように併走するのは横須賀を母港とするイージス巡洋艦CG63カウペンス。こちらの方にも鈴なりのギャラリーを載せているようだが、やはり迫力は空母に乗っていた方がより強烈だ。カタパルト要員が入念にチェックをしてこちらも無事に発艦していった。
さて発艦のトリを勤めるのはE-2Cホークアイ。こんな大きな飛行機が飛び立てるのかねと思うくらいの存在感がある。でもさすがに蒸気カタパルトは優秀で、ぐんぐん押し出していく。上空では先に飛んでいったホーネットが編隊を組んで旋回をしている。フライトデッキ上の飛行機はこれで全機発艦していった。さて次はなにを見せてくれるのかな。
デッキがきれいになったら直ぐにタッチアンドゴーが始まった。最初のホーネットが艦尾から降下してくる。船は最大戦速で風上に向かって邁進している。ごう音と共にタッチダウン、その後エンジンを吹かしてまた離艦する。こりゃすごい。進入経路がちょっとでもずれるとフライトデッキ上のギャラリーに突っ込んでしまう。パイロットの腕前にはほとほと敬服してしまった。
ホワイト大佐の乗機も降りてきた。飛行隊指揮官なんだから下手なところは見せられませんぞ。この時はタッチアンドゴーではなく着艦フックを引っ掛けて降り立ち、即座にタキシングしてカタパルト甲板へ移動、直ぐにまた打ち出されていった。この一連の流れはほんとにすみやかで、作業のフローにまったくよどみがない。もうさすがと言うほかない。
E-2Cも負けじとタッチアンドゴーのデモンストレーション。しかしちょっと右にロールしすぎているぞ。あぶねぇあぶねぇ。
唯一着艦ワイヤーの状態が撮れたのは上右の画像。二番目のワイヤーを引っ掛けて無事着艦。この機も直ぐにまた発進していった。ともかくこれでもかというくらい着艦、再発艦、タッチアンドゴーを繰り返す。おかげで質は悪いが色々な写真を撮ることができて嬉しい。とはいうものの被写体の速度があまりにも速すぎて写真上では止められない。う~む、良いカメラが欲しくなったぞ。
アナウンスがあって飛行甲板が開放された。もう発着艦はしないようだ。これで終わったと思ったらとんでもない。まだ次の部が控えていたのだ。
以下最終編に続く・・・
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