所持の責任
ここのところ国内外で銃器を使った痛ましい犯罪が立て続けに起きて社会の関心を呼んでいる。
不幸にして犠牲となった方々には掛ける言葉もない。それぞれに社会的地位や将来のある方々で、さぞ無念なことだったことだろう。ご冥福をお祈りしたい。
さて鉄砲は一般においても危険な道具と写る。先日所轄警察署にて銃砲検査があった。正式に銃砲の所持を許可されている人は年に一度の現物検査が義務づけられている。両手や肩にケースに入れた鉄砲をぶら下げて検査に赴き無事終了した後の話。お家のマンションのエレベーターにて一緒に乗り合わせた旦那さんに奇異な目で見られ「楽器ですか?」との問いに嘘もつけず「鉄砲なんですよ」と答えると「へぇ~」と引かれてしまった。同じマンションでこんな危ないものを持ったやつがいたんだと思われたことだろう。
世界的に見て治安がとても良いと言われる日本でも銃器犯罪が後を絶たない。しかし良く報道を見て頂きたい。犯罪に使用されているのは総じて拳銃を使用したものである。我が国ではスポーツ競技用以外の拳銃(ピストル)所持は公安関係者と自衛隊員以外はまったく許可されないから当然ながら普通の人が持っているだけで違法だ。一方正式の所持許可を経て入手した散弾銃やライフル銃による犯罪例はそうそう見ることはない。これは少なくともそのような犯罪に荷担する可能性のある者には銃砲所持許可が下りないというシステムに依るところが大きい。
鉄砲を持つプロセスというのをちょっと紹介しよう。
20歳を過ぎて鉄砲の免許を取ろうと思い立ったとき、最初に受けなければならない関門は所轄の警察署に所持許可講習と学科試験の申し込みに出向くことから始まる。ここでまず生活安全課の刑事さんによる根掘り葉掘りの質問攻めが待っている。なんで鉄砲のなんか持ちたいのかから始まり、家族、親類縁者は賛同しているのか、安全に保管できる環境があるのか等々・・・若い人や気の弱い人はここで断念してしまうケースも多いと聞く。
これをパスすると次は講習と学科試験。試験は合否の発表だけでで何点取れたかは絶対に教えてくれない。これは申し込み時から試験までの間に身元調査が行われ、危ない筋の方は合格点でも絶対に通さないためというのがもっぱらの噂だ。
自動車運転免許と同じく学科の試験にパスすると次は実技試験が待っている。普通の人はこのときに始めて実銃で実弾を発射することになる。安全な間違いのない銃器の扱いが出来ると確認され、一定以上の標的数に当てられると認定されて合格となる。
学科が出来て実技が合格となればこれで終わったと思ったら大間違い。次のステップは銃砲の所持許可へと進む。自動車が無くても運転免許は取得できるが、銃砲の場合は所持許可申請をする段に所持する鉄砲が決まっていないといけない。
問題はここから。申請後厳しい審査が待っている。交通違反を含め前科前歴は徹底的に調べ上げられ、家族や親族へ警察や公安委員会が電話を掛けてきて、鉄砲所持申請の事実に対して賛意確認をさせられることがある。自宅へ警官が訪問してきて銃器や実包の保管場所を確認に来たりする。ともかく適格かどうかというよりほんの少しでも不適格条項がないか、もしあったら落とすぞという意志がありありの審査だ。これらを経て銃砲所持の道が開けるのだが、持ったら持ったでこれまた厳しい制約と尊法意識が求められる。そんなわけでそれほどの覚悟がいることなのであります。
私はゴルフなどするわけでもなし、夜の街を延々と飲み歩くこともしない。せっせと貯めたささやかなお小遣いで年に何度かの標的射撃や狩猟を楽しむ安サラリーマン。正しくささやかに今後も楽しんでいけたらなと思っている。
« マガモはく製ブラッシュアップ | トップページ | すばらしやカナダ »
「ハンティング」カテゴリの記事
- 三浦半島にシシがいる(2024.09.29)
- これは毒キノコ(2024.04.17)
- 鹿ツノ(2023.11.14)
- 猟銃使用事件に思う(2023.05.31)
- ノネコ(2023.05.20)
「標的射撃」カテゴリの記事
- 猟銃使用事件に思う(2023.05.31)
- 慣熟射撃(2023.02.23)
- こんなものまで値上げ(2022.08.07)
- カモメと一緒に射撃行(2018.10.21)
- Remington 870(2018.06.09)
私も鉄砲所持者ですが、毎月少ない小遣いで
射撃場に通い下手な鉄砲を撃って楽しんでおります。
残念なことに今年は体調を崩し狩猟解禁2週間前から
入院するハメになり狩猟には行けなかったんで
こういったブログのハンティング日記を読んで
楽しんでいます。
ちなみに私もAB型ですよ。
投稿: 七神。 | 2007年5月 1日 (火) 17時50分
七神さん、こんばんは。初めまして。コメントありがとうございます。
七神さんも射撃をお楽しみなんですね。毎月続けていらっしゃるとは、もう相当の腕前なのでしょうね。ボクはトラップで20枚を超えるのが当座の目標であります。
解禁前に入院されたとのことですが、もう具合はよろしいのでしょうか。山や川に出かけられなかったのはさぞや残念だったことでしょう。季節の変わり目は体調も崩しやすいですからどうぞご自愛下さいね。
拙文をご覧いただいているようでお恥ずかしいです。えらそうなことを書いても所詮新米の作文なんです。七神さんのようなベテランハンターさんがお休みされたので、今猟期は私にもそこそこ獲物が廻ってきてくれたようで嬉しかったです。
多分七神さんがご覧になって文中におかしな点や誤った解釈などあろうかと思います。どうか遠慮無くご指摘なさって下さいね。
これをご縁にどうぞ今後ともよろしくです。
PS,AB型は献血に行くとけっこう人気です。この血液型ってネガティブな面を強調する向きが強いですが、献血の時だけは希少種ということで喜ばれるのがはげみになりますね。
投稿: Fiby | 2007年5月 1日 (火) 21時57分
また お邪魔いたします。
私も今年で所持歴は2年目の初心者でございます。
毎月、射撃場に通ってはいる物の腕前はまったく
上達いたしません・・・
スキート・トラップとも5割の成績を保つのが必死で
なかなかどうしてって感じですね
これからもちょくちょくこちらにお邪魔させていただきたいと
思いますので今後ともよろしくお願いします。
投稿: 七神 | 2007年5月 2日 (水) 09時14分
七神さん、こんばんは。スキートもやられるのですね。
ボクもやってみたいのですが、射台のプールとマークを全て覚えられるかいまいち自信がありません(^^;)
あまり役には立たないブログですが、どうかこれをご縁にごひいきに。七神さんお住まい地域の射撃、狩猟情報などおいおいご披露いただければ幸いです。
こちらこそ今後ともよろしくでございます。
投稿: Fiby | 2007年5月 2日 (水) 21時23分