巡洋艦シャイロー乗艦記 その3
シャイローファミリークルーズのその3
デッキにある各種兵装の説明を受けて、この船の圧倒的な存在感に驚きながら艦内へと入っていく。最初に魚雷室に案内された。弾頭部に安全キャップを付された短魚雷Mk46がラックに載っていた。発射時はこれをクレーンで架台に乗せ三連装のランチャーにお尻から詰め込み、画像右側にあたる舷側のハッチを開いて発射する。最初ハッチの存在がわからず、どうやって撃つのか聞いてしまった。
面白いデモを見せてくれた。ダメコンと呼ばれるダメージコントロール(被害対応)の練習だ。艦内の一室に火災の被害が及んだとの想定で発煙装置と赤いランプでそれらしい雰囲気を作り、ファイヤーファイター(消防士)の水兵さんが放水ホースを持って駆けつける。ちなみに画像右側に立っている説明役はチーフペティオフィサー、日本でいうと最上級専任曹長とでも言うのかな。下士官の中でもっともえらい人になる。その影響力は絶大で、若い士官学校出の士官などは相手にならない・・・と小説や映画ではよく設定されているのだが実のところどうなのかな。
さてそれらのダメージ状況は別室のモニターで確認できる。左側の画像は消火用スプリンクラーの作動状況が一目でわかるモニターだ。これらの状況に応じて消火班が急行するのだそうだ。機関制御室も撮影を許された。4機のGE製LM2500ガスタービンエンジンで2軸プロペラを回す。右側の画像中に計器類が4セットづつあるのがお解りだろうか。可変ピッチプロペラのため、後進するにはプロペラシャフトの回転はそのままに羽根のピッチを変えて後進を掛ける機能があるとのことだった。当直の水兵さんは暇そうだが、同じ制御卓は艦橋にもあるらしくどちらでもエンジンを操作できるらしい。
艦橋の操舵室に上がってみる。艦長が操艦指揮を執っており、逐一航海士から報告のある速度・方位・相対距離などの現在状況を "Very well" 「よろしい」と言って返していた。近海用のレーダーが動いていた。びっしりと近辺の船舶が表示されているが、交通頻繁な東京湾の深部でこんな大きな軍艦を操るのもけっこう神経を使う作業であったことと思う。操舵室の外側、フライングブリッジにはM249ミニミ軽機関銃がセットされていた。今回はデモ航海なので各種装備をこれでもかというほど見せてくれるが、船舶臨検等の時にはこれを構えて不測の事態に備えるのだろう。
シャイローは東京湾アクアラインの至近までやってきた。通称「風の塔」と呼ばれる海底トンネルのための換気設備の島が大きく見える。ここでぐるりとUターンとなるようだ。遠くにはアクアラインのパーキングエリア「海ほたる」も見える。その後軍艦らしからぬのんびりまったりとした時間が流れ、ホームポートの横須賀に帰ってきた。タグボートに押され接岸の体制に入る。朝、出港時にどいてもらった駆逐艦ジョン・S・マケインに横付けするようだ。5時間ほどのクルーズも無事終了とあいなった。
やはりこれは軍艦だ。航空母艦などとは比較にはならないが、その存在感はまさに圧倒的に感じる。日本は専守防衛の国である。海上自衛隊は基本的に防衛兵器しか持てないのが原則だ。この船に装備される各種の攻撃兵器をかいま見て、その差異に驚愕した。時間が取れたらその差異の本質を少し考えてみたいと思っている。
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ふぃびぃさんこんにちは。思い入れのある写真と解説に、スゴク感動しています。といったら大げさに聞こえるかもしれませんが、ほんとうに好きなことに情熱を傾けている人のブログって、グイグイ伝わってしまうものですね。
実は私は最近、「艦船」にハマってしまって、ビギナーの分際なのに「乗艦」に挑戦したいと思っています。ふぃびぃさんは横須賀には行かれたことがありますか。私が乗艦しようかと思っているツアーは、下記のような内容です。
http://opt.jtb.co.jp/kokunai_opt/p/p1011581/
JTBの主催なので、マガイモノではないと思いますが、初心者故の不安もあります。そこで、ふぃびぃさんにツアーの評価や参加にあたっての心得をしていただけたらと思った次第です。
この乗艦が叶ったら、全国ツアーを漁って、乗艦体験記のブログをつくりたいというのが最終的な欲望です。大先輩としてアドバイスもいただければと、厚かましいお願いですが。
また他にも乗艦できるツアーとかあったらぜひ教えてください。
宜しくお願いします。
投稿: ハマちゃん | 2012年6月24日 (日) 01時40分
ハマちゃん、こんにちは初めまして。
こんな田舎のブログにお越しいただき恐縮です。ご覧のとおりなんでもありみたいなポリシーのないブログですが以後よろしくでございます。
お褒めをいただきありがとうございます。でもそんなに思い入れがあるわけでもないんですよ。ただインチキは書けませんので内容には気を付けています。
JTBのツアーは拝見しました。なかなか面白そうですね。自衛隊の護衛艦は桟橋から乗って艦内の案内だけみたいで、海へは出ないのが残念ですね。護衛艦の体験乗艦は自衛隊主催でいくつかありますが、どれも申し込み制で人気が高く、プラチナチケットとなっているようです。観艦式は一度自衛官からチケットをもらって見ましたが、大島沖の訓練水域でどんぱちやるのでけっこう迫力ありましたよ。
停泊艦船の見学の次は体験航海をぜひ申し込んで見て下さいね。基本的にタダなので当たればもうけものです。「体験航海」「観艦式」といったキーワードで検索を掛けるといろいろと出てきますよ。
米軍艦船への乗艦とクルーズはそれなりの筋にお知り合いがいないと難しいでしょう。私もキティーホークとシャイロー以降は機会がまったく絶えました。また乗ってみたいものです。
色々とアンテナを張って情報を入手してくださいね。
投稿: Fiby | 2012年6月24日 (日) 23時35分