悪天候の富士登山 判断が明暗を分ける
私が御殿場口より富士山頂へと向かい、強風のため七合五勺でUターンしていた2009年7月19日、その同日に悪天候下の富士山で男性二人の方が遭難した可能性が高いことが本日判明しました。
彼らは私が登っていた御殿場口のお隣の富士宮口から、同じ時間帯である18日夜にグループで登山を始め、19日午前4時には登頂に成功していたようです。
その頃私は御殿場口七合目で強風のために零度近くまで下がった体感温度に悪寒を感じ、手持ちの防寒衣類を着込んだ後に山頂へと向かっておりました。その後七合五勺の山小屋砂走館を過ぎ、岩場の急な登山道に差し掛かったところで、瞬間風速で20m/sを超えるであろうという暴風と先が見えない濃霧に危険を感じ、私は午前5時に登山中止と下山を決意しました。
消息を絶ったお二人は、富士宮口から登頂してグループと別れて吉田口へ下山する予定であった模様。下山した形跡は明らかになっていないところから、ちょうどその時分の強風で山頂付近で吹き飛ばされてしまった可能性が高いです。
画像はその日に私が下山直後に撮影した富士山頂付近の様子です。山頂付近には厚い雲が掛かっておりますが、これは積乱雲でこの中は嵐のような様相になります。ダウンバーストという現象が起こり、上空から下に向けて強風が吹き降ろされ、稜線をふもとへ向かって猛烈な気流が流れていきます。
砂走りをせっせと下山している最中でも、風に押されながら背中に火山礫の小石が刺さるように飛んでくるという状況。7月19日は終日そんな天候でした。
山では一瞬の判断が生死を分けるとは使い古された言葉です。彼らがどれだけの山岳経験を積んだ方々だったのかは分かりませんが、比較的整備された登山道の富士山とてそれは変わりはありません。お二人が行方不明になられてからすでに4日が経過しています。
つい先ほどそのうちのお一人と思われる方が御殿場口登山道九合目から100m程脇にそれた場所で心肺停止状態で発見された模様です。富士宮口から山頂に立って、吉田口の下山道へとお鉢沿いに移動をしようとして強風と濃霧の中で遭難してしまったと考えられます。もうおひとかたも早く発見されるように願ってやみません。
私が下山の判断をした時に、心の余裕が無く勢いで山頂を目指していたら・・・と思うと気持複雑です。今回の遭難は駐車場で落石の直撃にあって亡くなったという不可抗力のケースとは異なり、いくらでも回避できる機会があったと言う点では大きな違いがあります。
亡くなられた方のご冥福をお祈りしたいと思います。
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