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2011年6月20日 (月)

富士山御中道めぐり 前編

Ochulog1 行ってきました御中道

これは登山ではなく修行でした
   

  

  
御中道とは、富士山中腹の標高2300mから2800mを通って一周するもので、冨士講の信者が巡拝し、富士山に3回以上登頂経験のある者のみに許された最上級の修練の道だと伝えられています。以前は登山道の体を為していましたが昭和52年に大沢崩れで落石事故があり、以後山梨県側の一部を除き現在は廃道となっています。
なにを血迷ったかそんな修練を積んでみたいという思いに駆られ、昨年から雪解けの頃を見計らっていたのでありました。

Rokugoumegoya_2Ochudoutorituki_2Usuifumiato

梅雨の合間の6月19日、気温8度の富士宮口五合目を午前4時半に踏み出しました。二週間前に有った六合目小屋前の落石は撤去されておりましたね。その時に見つけておいた御中道の取り付きから時計回りに突入します。所々にあるマーキングに注意しながら薄い踏み跡をたどっていきました。

OnigasawaKanbanTukoudome

ともかく大小の沢が多いこと。富士山にこんなにも沢があったとは驚きです。大沢崩れに至るまでの難所はこの鬼ヶ沢でしょう。掘れ方が深く、沢底から這い上がるまでの良さそうなポイントを探さないといけません。途中樹林帯を通りますが道はまるで不明瞭、リボンやマーキング、昭和52年に廃道となる以前のカンバン等々、なんでも参考になりそうなものを五感をフル動員して探しながら歩きます。3時間半程歩いて通行止めのカンバンに当たりました。この先は大きく沈んでいます。おぉここがかの有名な大沢かぁと思ったのが最初の間違い (^_^; 
GPSのログでも分かるとおり大沢はこの先なのにここを大沢左岸と間違えてトラバースすべく沢沿いに下流へと下っていってしまったのでした。後に確認したところここは不動沢だったようです。

BunanokiOosawaYojinobori

道無き道を下っていってもあらかじめ聞いておいた調査現場へ降りる登山道とクロスしない。標高差で800mほど降りてやっと手前の沢を越えられそうなところが見えてきました。巨石に絡むブナの木が目印になりそうです。ここから大沢に向けて登り返します。尾根を2つばかり越えて大沢の下流域に着きました。壮大な景色です。ピーク時には1日にダンプカー28台分の土砂が流出していたといいます。まさに崩れですね。右岸側に登れそうなところを探します。高さ4mほどの直壁以外に道は無さそう・・・必死でしがみつきました。ザイルがあれば身軽に登れたのにと思っても後の祭り。こりゃ修練そのものです。

ChousagengaguchiOosawakyuuhaku1Oosawakyuuhaku2

あとはともかく下った分を取り戻さなくてはいけません。右岸側の尾根を外れないよう猛烈な藪こぎをしながら進みます。こんなひどい藪こぎは久しぶり。かなりの距離を登り返すと調査現場口のカンバンがありました。なんとこんな上流に大沢崩れを渡るルートがあったのですね。そこからしばらくで大沢休泊所に着きました。自らのヘマとはいえ猛烈な距離と時間のロス。大沢に突き当たったと思って迂回後に登り返しただけで5時間を費やしてしまった。時間は午後1時、踏み出してから8時間半を経過してまだ御中道は全体の4分の1を回ったに過ぎない。
わたくしの運命はいかに・・・

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コメント

始めまして、静岡 @ 友峰です。40年前のお中道は、それこそハイキングコース、初心者でも楽に回れました。二度ほど大沢の小屋( 無人 ) に泊まりました。中でもユニークなのがトイレでウンチが空間に落ちて行きます、下から風が入るとペーパーが戻って来た様な 。。。 いい思い出です。後半を楽しみにしています。 

うわあああ!!
これはゾクゾクする!
ここは何処?私は誰?な未知の、いえ、過去の世界に迷い込んだ感じがいい!
もう、冒険の域に達してます。
何か過去の遺産も見つかりましたか?

続きが楽しみ!

静岡 @ 友峰さん、こんにちは、初めまして。
このような素人丸出しの記事に静岡の山岳会重鎮よりコメントを頂戴して恐縮してしまいます。HPも拝見しました。長年に渡って培われた見識はとてもすばらしく感じます。

40年前というと三ノ越がまだ越えられた頃の話ですね。そうなると5時間が短縮されるわけですから御中道も日帰りハイキングの雰囲気で回れたのかもしれませんね。
大沢休泊所は今は鍵が掛かっていて中には入れません。トイレも閉めているようでした。当時はそんな感じだったのですね。

富士山は隅々までご存じのことと思います。そんな大先輩を前に素人記事もはずかしいですが、まぁこんなやつもいるんだ程度にご覧いただければと。
今後ともよろしくでございます。

ども、ノブさん、
ほんとに驚きの連続でしたよ。なんといっても一日で富士山を一周しないといけないので、踏み出したら途中でギブアップは出来ない、ともかく出発点に戻らないといけないんです。

良い経験をしましたです。自分の足で標高差1400m延長30Kmを一日で歩けたのはボク的には勲章です。おっしゃるとおりボク的には登山と言うより冒険って感じでした。危険度が高まると満足感も助長されるんですよね。

怪我したら元も子もないですが・・・(^_^;


なんか凄そうな事になってますね。

でも、この記事書いてると言う事は無事に帰って来たんですね。

まさか、山バナナをさっさと食べて逃げてきたとか・・・
違いますよね?
引っ張りますね~

すごい事に挑戦するんですね。
18時間も歩いて富士山を一周だなんて、体力的にも自信があったからやり遂げられた事なのでしょうけれど、それにしてもすごい <(_ _)>
ご無事でお帰りになれたみたいで何よりです。
後半の記事も楽しみにしています。o(*^▽^*)o


不動沢もかなり大きく抉れているのとのと位置的にも大沢崩れに近いので確かに間違えやすい場所かもしれません。以前は通行止めの看板の先に天ノ浮橋という橋があったそうです。天ノ浮橋が残っていれば不動沢も楽に渡れたのだと思うのですが、今はもうないので、あの辺りの不動沢越えも難所のひとつだと思われます。

巨石に絡むブナの木いいですね。あの辺りの自然の奥深さを感じますね。

ども、花の五六八さん、

> でも、この記事書いてると言う事は無事に帰って来たんですね。

はぃぃ、なんとか五体満足で帰ってこられました。まさに修練の場です。ここを歩き切ったのだからどんな苦労も絶えられる・・・ってなふうになれたらいいなと思います。

> まさか、山バナナをさっさと食べて逃げてきたとか・・・

ぎくっ (^_^;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
当たらずとも遠からずだったりして。

ども、ミーさん、

> すごい事に挑戦するんですね。

ボクなんぞより凄いお方は山ほどいるのですが、そんな諸先輩の域に近づきたいがために、少しだけ背伸びしながらやっております。
はき慣れた靴のおかげで30Km山を歩いても靴擦れ、マメなどはできませんでしたよ。やっぱり靴は基本ですね。

> ご無事でお帰りになれたみたいで何よりです。

それが一番大きかったかもです。怪我でもしたら元も子もないですものね。保険金を請求することもなくって良かったかもです。

ども、viewtaさん、

自業自得ですが、不動沢を突っ切って大沢まで届いていたら、また違った展開になっていたかもしれません。まぁこれも経験です。

> 以前は通行止めの看板の先に天ノ浮橋という橋があったそうです。

へぇ、そんな橋があったのですね。橋を渡って大沢崩れに届けばもっと御中道の富士宮側は身近になるかもですね。

> 巨石に絡むブナの木いいですね。あの辺りの自然の奥深さを感じますね。

ご共感いただき嬉しいです。ボクもあのブナの木には見とれてしまいました。富士山に息吹く自然のスケールを大沢崩れと共に感じましたね。

すばらしき山、富士山です。

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

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