なぜ遭難は起こるのか
ゴールデンウィーク終盤、北アルプスは白馬岳でシニアハイカー6人がまとめて遭難、本日死亡が確認されました。繰り返されるシニア世代の遭難事故、起きてしまえばなんで?という疑問符が付くケースが多いです。
私はまだシニアには遠い新米登山者。白馬近辺では夏の八方山くらいしか登山経験がありませんし、スノーシーズンは八方尾根の第一ケルンへスキーで登ったくらいです。でもあの周辺の険しさは少しだけ理解しています。山は天候の急変が怖い。一週間前の富士登山でも雲一つ無い上天気からあっという間に深い霧に覆われてホワイトアウト、前後左右の感覚までなくなってしまうこともありました。
5月初旬の白馬は雪山です。遭難した方々は防寒着も持たず、カッパの上下を持っていたのは1名だけで残りの方々のカッパはなぜか上だけ。3000m近い標高のある北アルプスをこの時期に登るにはあまりにも貧弱な装備。メンバーの中にはヒマラヤの登山経験者もいたとかで残念ながらその経験が生かされなかったのは残念。全員低体温症で亡くなったそうです。
遭難した日の標高2800m至近の気温はマイナス一桁台。実のところ一通りの防寒着があって風よけのツェルトあたりを持っていれば低体温症で死ぬような気温ではありません。やはり必要な時に必要な装備を用意するのが山なんですね。
彼らが遭難した小蓮華山近辺から宿泊予定だった白馬岳白馬山荘まで夏山だとおよそ2~3時間程度の行程です。左の白馬五竜地蔵ケルンから見た白馬三山の画像で、白馬鑓ヶ岳から白馬岳までが同じくらいなんです。でも彼らにとってはたどり着けない永遠の3時間になってしまいました。
山では一瞬の判断が生死を分ける とは使い古された言葉です。
戻る判断って山ではとても大切。単独行がほとんどの私の登山でも、無理はしない、だめと思ったらさっさと降りるがモットーです。たとえ山頂がそこに見えていても、あらかじめ律した時間に間に合わなければ私はUターンして下山します。
でも彼らはそれができなかった。恐らくは最初に高齢の方が身動きが取れなくなって、その後次々と仲間が倒れて元気な人を戻らせることも出来なかったのでしょう。カッパすら満足に用意していなかった様子からしてヘッドライトなどの夜間装備も無かった可能性が高い。そうなると日が暮れたら身動きが取れなくなります。なにかと高価な山道具ですが全てに意味があるんですね。
山では蛮勇は不要です。帰らぬ人になってしまえばそれで終わりですが、戻ることができればまた来ることができます。私はこれからも山では臆病者であり続けたいと思いますです。
追記: その後の報道発表によるとご遺族の要請によって遭難現場から回収されたザックの中から未使用の防寒着やツェルトなどが見つかったそうです。急激な天候の悪化によって必要な装備をザックから出す間も無かったということでしょうか。風の通りの良い尾根上で大変な環境に置かれていたのでしょうね。
防寒着を着ることができていれば、ツェルトを立てて中に入ることができていればと考思わずにはいられません。
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