書策新道解説 1
神奈川県は東丹沢に位置する塔ノ岳1491mは丹沢では一番人気のお山です。ここへはいくつかの登山道が通じていますが、表尾根へ通じて塔ノ岳へアクセスする書策(かいさく)新道という登山道があります・・・っていうかありました。
この書策新道は表尾根にかつて存在した書策小屋の主であった渋谷書策さんが戸沢を始点とし小屋を終点とする登山道を開拓し、命名したものでありました。その登山道は変化を極め、通好みのルートとして知られていました。でも小屋は2004年から営業休止し、渋谷書策さんは2009年93歳で逝去されました。晩年は廃墟となっていた書策小屋も、2010年3月の丹沢クリーン大作戦の一環で撤去されて現在は面影もありません。
主亡き後の書策新道は荒れるに任せるような状況で、ボランティアの方々が一部補修をされていますが、まったく追いついていません。実際は安全に登行出来る登山道に修復するためには膨大な費用が掛かることでしょう。現在は危険箇所も多く廃道の扱いになっているようですが、私はこの書策新道がとても好きで年に数回、状況を確認するために出向いております。
塔ノ岳へ登る最短コースである源次郎尾根に取り付くためにも書策新道の戸沢側入り口の難解さはクリアしなければならない部分です。新しい登山靴のデビウを記念して書策新道への取り付きについて解説しておこうと思います。
なお現在の書策新道は登山道としては非常に危険な状態であると言わざるをえません。決して万人にこれをお勧めしているわけではありませんのでその点はご理解下さい。
書策新道の戸沢側取り付きは非常に難解です。ガイド記事などを見て一発で見つけられたら相当に勘の鋭いお方。私もたまに忘れてしまうので今回はその覚えも兼ねていたりします。
戸沢の河原にある駐車場に車を駐めて踏み出します。小さな沢を越えると右手に戸沢のバンガロー群が見えます。営業はしていないみたい。そのまま本谷沢に掛かる橋を渡ると大きくカーブして画像の築堤を通ります。カーブ左側にも廃屋の小屋がありましたが今ではきれいに撤去されています。
築堤カーブから数十メートル歩くと貴重な書策新道の看板が残っています。この看板にも取り付きの簡単な絵が描いてありますが非常に難解なんですよね。
追記: この看板も2014年現在撤去され今はありません。「山火事用心」の横断幕などは残っています。
看板群の左手を回り込んで天神尾根方向へ進みます。右手を見ながら源次郎沢の最初の堰を見つけたら沢側へ降りて下さい。沢を横断したら沢水が流れ落ちている階段を上ります。常に水が切れない変な階段です。
階段を上りきって左へ折れると沢なんだか歩道なんだかわからない道をジャブジャブと進みます。前方を見ると源次郎沢入口の看板が見えます。看板を左に折れると最後の書策新道看板があり、ここが取り付きであると思われます。
追記: 2014年現在、これらの看板もすでに撤去されていて取り付きがとても分かりにくくなっています。現状は画像の雰囲気で探して下さい。
こうやって書くと簡単そうですが、初めて来た人にはけっこうハードルが高いのは間違いはないです。
ついでに塔ノ岳への最短ルート源次郎尾根との分かれ部分も紹介しておきましょう。先ほどの最後の看板から距離にして800m、標高差で200mほど登ると道筋が本谷沢側へ巻く部分に出ます(上右の画像)。ここの左手が源次郎尾根です。目印やマーキングはありません。登ってきて尾根登りが巻き始めたら行き過ぎたと思って戻って下さい。
源次郎尾根は尾根筋を外れないように登って行くわけですが、ここは元々登山道ではないので踏み跡は不明瞭、GPSがあれば安心ですがともかく尾根を絶対に外れないという意気込みが必要です。30度くらいの杉林斜面を延々と登っていくのでけっこうかったるい。このルートも難解で、あまり巷では紹介されていませんが、車を降りてから最短で塔ノ岳までたどり着けるルートであるのは間違い有りません。
取り付きについて詳細説明はいたしましたが、最初に書いたとおり書策新道は現在登山道としては決してお勧め出来る状況にはないんですよね。その辺はまた次号で・・・
« 路地裏の靴磨き 3 | トップページ | 書策新道解説 2 »
「登山」カテゴリの記事
- 箱根駒ヶ岳登山ちょっと神山(2024.11.12)
- 西沢渓谷の紅葉 2024(2024.10.27)
- 竜ヶ岳登山 山梨百名山21座目(2024.08.24)
- 日本百名山と新日本百名山(2024.08.17)
- 寸志で入れる雨飾高原露天風呂(2024.08.07)
コメント