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2012年10月 1日 (月)

ヒルに負けじと丹沢エンジン探し その2

Kaeruカエルさんに導かれて

エンジン捜索は続きます
  

  

  
ヤマビルの総攻撃に為す術もなく敗退。でも今ミッション最大の目標である墜落機のエンジンを見つずして転進するわけにはいきません。靴の中からヤマビルを払いのけ捜索を再開します。

Seki

Engine1

Engine2

四つめの堰をかわすと五つめの堰がすぐそこに見えます。密偵からの情報によれば、どうもそのエンジンはこの近辺にあるらしい。五感を総動員して捜索を開始。ほどなくしてそれらしきものを発見しました。
おぉ、これが墜落機のエンジンかぁ

Engine3

Engine4

Engine5

確かに空冷星形18気筒エンジンです。半分地面に埋もれてはいますが一見してエンジンと識別出来ます。シリンダヘッドは全て吹き飛び、星形エンジンにあるはずのOHVエンジン独特のプッシュロッドもありません。今ならばアルミで作られるであろうクランクケースやエンジンシリンダもスチール製なんですね。歴史を感じてしまいます。

さてこのエンジンについて少し調べてみました。どうもこのエンジンは形状から中島飛行機(現在の富士重工)が製作した海軍型(陸軍型だとハ-45)エンジンと思われます。すでに閉館した神田の旧交通博物館にも展示されていたようです。

こちらのHPをご覧頂きたい。今回見つけたエンジンの位置はGPS読み標高800mですが、キュウハ沢のさらに上流標高850m程のところにもう一つエンジンが沢底に埋まっているらしい。双方の画像を注意深く見比べるとエンジンは同型ではあるが明らかに別物です。つまりこれは単発機ではなく双発機が墜落したのだと想像出来ます。

海軍型の誉(ほまれ)エンジン(陸軍型ハ-45)を積んだ飛行機は以下のタイプがあるようです。

海軍

 局地戦闘機「紫電」及び「紫電改」(単発)
 局地戦闘機「天雷」(試作機・双発)
 陸上爆撃機「銀河」(双発)
 艦上攻撃機「流星」(単発)
 陸上攻撃機「連山」(試作機・四発)
 艦上戦闘機「試製烈風」(試作機・単発)
 艦上偵察機「彩雲」(単発)

陸軍

 四式戦闘機「疾風」(単発)

先の大戦末期、首都防衛の任を担っていた主な防空部隊は厚木の第302海軍航空隊と調布の陸軍飛行第244戦隊、さらには横須賀海軍航空隊くらいですが、それぞれの部隊の配属機の中で同型エンジンを積んだ双発機というと厚木302空の「銀河」しかありません。

よく丹沢に墜落した戦闘機のエンジンと紹介されることの多いこのエンジンですが、私は戦闘機ではなく双発爆撃機「銀河」のエンジンの片割れであると推測しました。あくまで私の推測ですがね。

丹沢のこんな山奥にも歴史の一ページが埋まっておりました。両手を合わせた後、ヒルに食いつかれないように早足でエンジン碑を後にしたのでありました。

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コメント

はじめまして
唐突な書き込みにて失礼いたします。
この星型エンジンのある位置のGPS上の緯度経度をお教えいただくことは可能でしょうか?
といいますのは、そのエンジンの機体は私の祖父が搭乗していた爆撃機銀河の可能性があり、昭和19年11月27日に厚木から飛び立ったものと考えております。
昭和56年に私の父が慰霊のためその場まで登り、おおよその場所はわかっているのですが当時はGPSなどなく、今となってはおおまかな位置しかわからない状態です。
大変差し出がましい話しではございますが、もし詳しい位置がお分かりになるようであれば、お教え頂きたく書き込みさせていただきました。

おおきさん、こんにちは。初めまして。
こんな辺境のブログにお越し頂きありがとうございます。

コメントを拝見して驚きました。なんと御祖父様は銀河の搭乗員であられたのですね。
昭和19年11月27日未明には62機のB29による首都大空襲があったと聞き及んでいます。御祖父様は果敢に迎撃に向かわれたと拝察いたします。銀河も夜戦型に改造されたものが少数存在するらしいですが、御祖父様の乗機もそんなタイプだったのかもしれませんね。

さてご要求の緯度経度は以下であります。

N 35"28'03.9"
E 139"10'58.5"

今回現地へ持って行って使用したのがスマートフォン内蔵のGPSであったので、念のため国土地理院1/25000とガーミンGPSで追加検証をしました。上記の緯度経度で半径10mの誤差円の中にエンジンは存在すると断言出来ます。

GPSログもありますが、進みやすいところを探すために行ったり来たりを繰り返していたためにログもぐしゃぐしゃになっています。
もし必要であるならば、林道から最も安全にアクセス出来るルートを1/25000地形図にプロットしてお送りいたしますよ。

現地にはお父様が慰霊参りに行かれた当時のものでしょうか、カップ酒等がお供えしてありました。もう一発のエンジンはすでに沢底へ埋没してしまったようです。このエンジンが朽ち果てる前にどうぞ慰霊に訪れてあげて下さい。

現地情報で必要なことがありましたらなんなりと申しつけて下さいね。最新の情報をお渡し出来ます。
ではでは。

さっそくのご返答ありがとうございました。
>林道から最も安全にアクセス出来るルートを1/25000地形図にプロットしてお送りいたしますよ。
大変嬉しいお申し出ありがとうございます。
まったく急いではおりませんので、もしお手すきの際にいただけたら幸いです。父も喜ぶと思います。
しかし、ブログの記事と併せて航空写真を見ましたが、やはり素人には登れそうにない場所のようですね。

>昭和19年11月27日未明には62機のB29による首都大空襲があったと聞き及んでいます
はい。仰る通りで厚木基地よりB29の迎撃に向かいそのまま消息を絶ち、翌日302空は捜索を行ったものの発見には至らなかったとのことです。
ブログ記事内でリンクされているHPにもありますように、昭和56年に登山者によって発見されたのですが、それまでは国から伊豆半島の太平洋に没したとの報告でしたので、花を手向けるのも海上でした。
その後、墜落現場周辺にいくつかの骨片が発見され警察も2度ほど捜査に入ったようですが、当時はDNA鑑定などありませんでしたので、野生動物のものとして処理されたようです。
今もあるかどうかはわかりませんが、発見当時は粉々になったジュラルミン片があちらこちらに散乱していて、父が遺品として何点か持ち帰っていました。
機体はタイヤの型番の打刻から銀河であることは間違いないようですが、製造番号が確認されたわけではなく、昭和20年4月12日にも未帰還の銀河が一機あるため、それがどちらの機体であるかの決定的証拠は現在まで発見されていないとのことです。
しかし、それがどちらであれ、丹沢に眠る機体に同じ想いをしている家族があることに違いはありませんので、誰それの機体といった拘りは拭っております。
また墜落から70年近く経った今もなお現場を訪れてくださる方に感謝いたします。
それでは身の上を長々と失礼いたしました。

おおきさん、コメントありがとうございます。

そうですか、当時の詳細な状況はかなり明らかになっているのですね。わたしもこのエンジンの周囲を五番目の堰のあたりまでうろうろとしましたが、当該エンジン以外のものは目に付きませんでした。

以前はキュウハ沢沿いに多くの墜落機のものと思われる残骸があったそうですが、沢も毎年形を変えていきますので戦後67年を経て風化も進んでいるようです。

B29の残骸があったとの話もあり、丹沢には日米の多くの英霊が眠っていらっしゃるようです。私もこのエンジンの前で手を合わせて参りましたが、事の始めは興味本位の物見遊山みたいなものでした。墜落機のご遺族であるお方にコメントを頂戴し、まったくお恥ずかしい限りであります。

ルート図はお作りしてメールにてお送りします。ちょっとだけお時間を下さい。林道からエンジンへ至るルートは運動靴でちょっと単独でハイキングというには厳しい道のりかもしれません。ただ山の心得が少しでもあるお方と同行すれば決して難しい道のりではないと思います。

ただこの時期はヤマビルが多くお勧めできません。このエンジンの廻りもヤマビルの巣窟になっていて、デジカメで写真を撮っているそばからヤマビルが靴へ這い上がってくるような状況でした。

もし行かれるなら秋も深まってヤマビルの活動が一段落してからの方が良いかもしれません。

まるでヤマビルが御祖父様の遺品を守って下さっている。そんな風にも感じましたです。

おおきさん、
先ほどhotmailのアドレスへルート図と参考画像を送りました。フリーのメアドで添付ファイルがうまく届かないこともあるみたいなので、届いていないときは言って下さい。
宜しくお願いいたします。

ご返信遅くなってしまい申し訳ございませんでした。
メール拝見させていたしました。
こちらにて返信に代えさせていただきます。

詳細な写真による順路ありがとうございました。
私は山も沢も登ったことがないためまったくわからないのですが、堰は登れても降りることができなさそうで、写真からも自分では無理かなぁという印象を受けました。

>>林道を離れてからエンジンまでは直線距離で500mくらいであり、
>>ルーティングしても歩行距離で1Km程度でしょう。慎重に歩いても林道1時間、沢
>>歩き1時間の合計2時間で到達できる程度と思われます。

一度キュウハ沢に足を踏み入れてみないと、なにもわからないと思うので一度実際に足を運んで状態をみてみたいとおもっています。
(早戸川には以前マス釣りに行ったことがあるので、おおよそ見当がつきます)
この度はいろいろお手数をおかけしてしまい申し訳ございませんでした。
また突然のお申し出にも関わらず、詳細な案内やアドバイスいただき感謝しております。
本当にありがとうございました。

おおきさん、

私の情報が現地の様子を知る一助となれば幸いです。現場までの道中はそれこそ自己責任の部分ですので、ご自身で近くまで行ってみるのもいいかもしれませんね。

おっしゃるとおり堰堤のステップから足を滑らせて落下しても携帯はつながりませんし救急車が現場まできてくれるわけでもありません。懸命なご判断だと思います。

どうか長い目でご検討下さい。この度はこちらこそありがとうございました。

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