狩りガール
男の世界と思っていましたが
女性が進出中なんですと
世の中には面白いことを考える人がいるものです。○○ガールなんていう言い回しは、今まであまり女性とは縁の浅かった分野への進出に敬意を表しての称号と理解していたけれど狩りガールとは恐れ入りました。大日本猟友会がまたそれっぽいおされなホームページ を作っています。
う~む、響きはいいですよね。でもどうも他のなんとかガールと比較してぴんと来ないのはなんででしょう。私も銃砲所持許可を取得した後に狩猟者を志し、第一種銃猟免許をもらってから10年になりますが、その間私の出向く猟場や過去混ぜてもらった鹿のタツマ猟の組でも、女性猟師などという存在は影すらも見たことがありません。北海道あたりにはエゾ鹿狩りの女性チームがあるという話ですが、私の住む近辺の環境においてはその存在はかなりの希少種であると思われます。
わな猟、網猟となると職業猟師丸出しっぽくなってしまいますので、狩りガールの意図するところは銃砲を用いた西欧風のスマートなハンティングを指しているのでしょうか。イギリス貴族がやっている馬に乗ったキツネ狩りみたいな感じかな。クレー射撃の射撃場では稀にではありますが女性シューターに出会うことはあります。しかし銃器を用いた狩猟ともなると様子はがらりと変わります。
環境省や猟友会が押す狩りガールは、近年増えすぎて問題となっているニホンジカを適正数に戻すための担い手となって欲しいという意図がありありです。ただ標的射撃はマトを撃ってお終いですが、狩猟は撃った後が大変なんですよね。
一発で絶命できていればいいのですが、半矢(半死)の状態では止めを刺してやる必要が出てきます。肋骨をまさぐりその隙間から心臓めがけてナイフをずぶり。鹿の断末魔の叫びはけっこう耳に残ります。その後皮をはぎ、臓物を処理し必要部位を切り分ける。腹を撃ち抜かれた個体はさらに大変。これを山野にて周囲を血だらけにさせながらやるんです。皮をはぐ時には満身の力を込めて引っ張りますので腕力も必要。
引き金を絞るだけなら必要資格を取得できて鉄砲を入手できれば誰にでもできます。でも撃ったあとの処理ができなければ狩猟者とは言えません。調理ではなく処理です。動物の命をいただくということはかくも重いことなのであります。女性にこれを全てやってもらえるかは大いに疑問に感ずるところ。狩りガールなどというさわやかな響きとは裏腹に、狩猟たるもの常に泥臭く血生臭いものなんですよね。
銃砲所持に関わる環境もだいぶ様子が変わってきました。所持者の不祥事が起きる度にその制度は厳しくなってきており、苦労して資格の取得ができたとしてもその維持のためにかなりの労力と費用を覚悟しなければなりません。
毎年の所轄警察での銃砲検査、3年おきの所持許可更新のための学科教習と射撃場での実技教習、その上での更新手続き、実包を購入するための火薬類譲渡許可証の申請・発行。これらは全部平日です。発行してもらう必要がある書類は提出後やはり平日に改めて警察に出向かなければなりません。費用もそれなりに掛かります。狩猟に関わる第一種銃猟免許は資格としてはまた別で、これも毎年都道府県単位の登録と取得後3年おきの更新講習があります。
このように普通のサラリーマンやOLなどには手続き的に非常にハードルが高い。過去もそれなりに面倒であったがために仕事を定年されて時間の豊富な高齢者に銃砲所持許可者が多かったですが、近年の厳格化でそんな方々でも返納が相次ぎ、公安当局が意図するようにどんどんと銃砲所持許可者が減っているのが今の実情です。
そこへもってきて鹿が増えすぎ生態系を揺るがす一大事となってきているのに狩猟者が足りない。一時は自衛隊員に軍用銃で狩猟してもらえなどという滑稽なことを言う国会議員さんまで出てきてどんなもんかねぇと思っていたら次は狩りガールです。
銃砲所持を所轄する公安委員会と、狩猟鳥獣を管理する都道府県農政担当部局での思惑は必ずしも一致してはいません。害獣駆除に警察・公安の理解がある地域はまだしも都市部ではその温度差は激しそうです。女性が銃砲を所持したいと思い、まず出向かなければならない所轄警察署生活安全課の刑事さんとの面接で、「わたし狩りガールになりたいんですぅ」と言って通じるものかどうか・・・
私は山ガールも好きですが狩りガールも発想としては面白いとは思います。獣肉の処理までしてくれるならばそんなたくましい女性は大歓迎。狩猟民族が太古の昔から営んできた男が狩りをして女が調理をするという図式を根底から覆してくれそうなお話です。まぁ日本人は農耕民族だから別に関係ないのかな。
片や狩りボーイは11月の次猟期が始まるまで現在お休み中。女性に負けないよう来季もがんばらなきゃ・・・
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狩猟人口が減る中、女性の方は多くなってるんですよね。
この夫婦は羨ましいよね~
http://www.youtube.com/watch?v=LqVjH9PS5ys
ただ、「ちはるの森」とか言う人は少し違う気がします。
必要以上に解体の血や猪などの毛焼きなどを面白い様に強調したり、もう少し真面目にやれって言いたい。
長濱世奈さんも同様。
こんな人もいます
http://huntingfishing.doorblog.jp/
そのうち家のチビも狩りガールにしたいと思います(笑)
投稿: 花の五六八 | 2014年6月 2日 (月) 19時32分
ども、花の五六八さん、
狩猟人口20万人に対して女性の占める割合は1900人程度ですから1%未満くらいは女性がいるわけですね。いやぁしかし我が方では狩猟免許の更新講習会で何百人に一人くらいの割合で見ることはあっても、猟野ではお目に掛かったことはありません。どこかに隠れているのかな。
ご紹介いただいたYoutubeのTV番組でも狩猟免許の取得要件を説明していましたが銃砲所持許可に関しては触れてはいませんでした。てっぽ持つ方が大変なのにね。
我が家のカミサンはだめだな。精肉して持って帰ってこいと言うだけ (^^;
花の五六八さんの娘さんが狩りガールになったら、いきなり熊さんと一騎打ちでもしそうですね。
投稿: Fiby | 2014年6月 3日 (火) 19時41分
去年、狩猟免許を取得しましたが、実際に試験会場には女性も多かったですね。そして銃砲所持までこぎつけた人もいます。実際に猟にでかる人は少ないみたいですが。
今の狩猟免許を取得する人が増えている要因の1つは「山賊ダイアリー」ですね。
投稿: | 2014年6月 7日 (土) 01時24分
こんにちは、コメントありがとうございます。
へぁ、最近はそんなに女性の方の狩猟免許取得者が多いのですね。鉄砲の所持が後ということは網罠猟から入っていく女性が多いのかな。最近は行政が罠を貸してくれる地域もあるそうなので、その関係で免許取得の必要があるのかもしれませんね。
山賊ダイアリーなんていう漫画があるのですね。調べてみてちょっと驚き。機会があれば読んでみたいなと思います。
投稿: Fiby | 2014年6月 8日 (日) 00時07分