南アルプス 北岳へ登る
日本で一番高いお山は言わずと知れた富士山ですが、じゃぁ二番目はどこ?と言われて直ぐに答えられる人はそう多くはいないかもしれません。それは南アルプスの秀峰と言われる北岳3,193 mです。今回は毎度おなじみの日帰りコースで攻めてみました。
調べると北岳日帰りは健脚な人のみ可能とのこと。私は倦怠期であっても決して健脚ではない。やっぱ小屋泊まりかなぁと考えながら、昭文社の「山と高原地図」をにらんでみると、合計評定時間はなんとか日帰りの出来そうなレベル。丹沢などでは地図表示時間以内で常に行動しているのでなんとかなるだろうと安易に考えました。その安易な発想が命取りとなるとも知らずに・・・
踏出しとなる広河原はマイカー進入禁止で登山バスにてアクセスする。従って踏出しもバスの時間に制限されてしまうんですな。しかも帰りの終バスも16:40と微妙に早い。乗り遅れたらビバークか20 Kmの林道歩きという究極の選択を迫られることになります。そこで12時までに山頂に着かなかったら戻るということにして元気よく踏出しました。
一番バスを降りると遠く北岳と雪渓が見えていました。あそこまで行くのかとモチベーションも高まります。吊り橋を渡って登山道に取りつきます。気が高揚しているのか歩みも軽い。うっそうとした登山道を3Kmばかり歩いてふと山小屋が見えました。ん?山小屋?
白根御池小屋が視線に入って気が付いた。おぉぉまたミスコースしちまったぃ。
GPSログの画像にあるように大樺沢沿いに最短コースを取るつもりが白根御池廻りとなってこれで二俣から雪渓に取り付くまでに1時間5分のロスが決定。終バスを考えるにこれは痛い追加分。なんとか取り戻そうと先を急ぎます。
GPSログの画像にあるように大樺沢沿いに最短コースを取るつもりが白根御池廻りとなってこれで二俣から雪渓に取り付くまでに1時間5分のロスが決定。終バスを考えるにこれは痛い追加分。なんとか取り戻そうと先を急ぎます。
南アルプスの雪渓は白馬岳 の大雪渓のようで気持ち良い。7月も下旬だというのにまだ雪がたんまりなんてのも日本アルプスならではですね。
巷ではペットボトルで売っている南アルプス天然水が飲み放題ですぜ。手持ちのボトルに汲んでお水は一安心です。雪渓から離れてどんどん高度を上げていきます。
北岳西壁にはバットレスという岩場があります。ここを登る方もいるようですが、私は素直に登山道を行きます。やっとのことで八本歯ノコルに到着、ここからは開けた尾根筋にに出ますが標高は2,900mくらい。まだ標高差で300m近く残っています。急な梯子がこれでもかと次々に登場。気温も高いのでけっこうつらひ・・・
時間は12時5分前、5分じゃ標高で300m分は逆立ちしても無理だけど、まだ12時前だからと山頂を目指します。これが今回最大の判断ミス (^^;
この標高差300mがともかくきつい。梯子場の連発でこれでもかと迫ってきます。
このお山も鳳凰三山 と同じように奇石が多いですね。南アルプス山系の特徴なのでしょうか。遠く尾根筋には北岳山荘が見えます。目を転じれば南アルプスの名峰甲斐駒ヶ岳がでんとおわします。落ち着きのあるお山ですね。
時間は13時半近い。山ばななをかぶりついてから速攻で尾根筋を下ります。この尾根道はトレランみたいにたったかと小走りで歩けるのですばらしい。
もうここからはせっせと下山に専念します。ともかく16時40分までに広河原バス停にたどり着かないと悲惨な末路が両手を広げて待っているんですからね。
で下山はどうなったかと言うと・・・残りの地図上の平面距離2 Kmで30分を切ったところで試合放棄。平地ならまだしも、へたれハイカーには3,000 m峰を登った後で地図の登山道2 Km(実歩行距離は1.5倍以上になる)を30分ではどうやっても無理っす。その後はちんたら歩いて終バス出発後40分以上過ぎてバス停に着きました。最終タクシーも出た後で、係りのおじさんが林道の各終端にゲートを掛けて施錠後すでに帰ってしまっているのでタイヤの付いている車は完全にロックアウト。もとより山に強いドコモ携帯もまったくの圏外。万事休すです。
こんな場合に備えてツェルトを含むビバークの道具や食料は背中にある。職場に事後承諾でもう一日休暇を取るか、林道を歩いて帰るか悩みに悩んで歩く道を選択。しばらく足を休めた後の19時頃、誰も居なくなった広河原バスターミナルを車の置いてある20 Km先の奈良田目指して歩き始めました。
12 Kmの山登りをしたあとに20 Kmの林道歩き。歩みを進めなければ帰れないのでただただ足を前後に動かすことに専念します。不気味さ全開の真っ暗闇の林道や隧道をヘッドライトひとつを頼りに歩かねばならない。タヌキやイタチみたいなのはけっこう出会いましたが大型獣に出くわさなかったのは幸い。
くったくたになりながら広河原から17 Km地点にある開運隧道出口まで来ました。ここには格子の大きなゲートがトンネルをとうせんぼをしていて、抜けられなかったらゲートの内側で囚人みたいにしてビバークだなと半分あきらめたら、小さな扉から出ることができましたよ。さらに3 Km歩いて駐車場に到着ぅ・・・はぁ
林道歩きは休憩時間を含めて5時間半で自動車へ戻ることができました。日付はすでに翌日。山登りの12 Kmと合わせて富士山お中道 をさ迷い歩いた記録を抜いて、1日で歩いた最長不倒記録を樹立・・・しても嬉しくない。いやぁかったるかったっす。
北岳登頂と合わせていい思い出です。でもこの思い出は一度でいいかな。
今回の教訓。
ひとつ、自分で律した約束事は守りましょう
ひとつ、登山道は間違えないようにしましょう
ひとつ、バックアッププランの方針を決めておきましょう
ひとつ、行動にバスが絡む登山はよく考えましょう
まずい、教訓の多さからして複合的に過ちを犯していたような・・・ (^◇^)
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或る意味「無事」なご帰還でよござんした。
事は有ったのでしょうが、命と身体に別条が無くてねえ。
やっちまった!ですねえ。ミスルートが遭難する方向でなかったのが救いでしょうか。でも、こういった出来事が人生を、山行きを楽しいモノにするのですね。
正統な当たり前な事も大事かもしれませんが、それだけじゃねえ。その辺の精神がFibyさんだもの。
しかし、北岳に特急で登って下って、20kmをヘッドライトだけで黙々と歩くなんて....あなたは生き残れる。
投稿: ノブ | 2014年8月 2日 (土) 07時17分
ども、ノブさん、
なんとか五体満足で帰ってまいりました。ほんとに遭難したら元も子もないですが、リカバリー可能な経験は経験則として後に生かすことができます。そのくらいのポジティブシンキングでいいかなと。
まぁこれも無事に帰れているからこそ考えられることなのですけどもね。
林道経験の深いノブさんはご存知かもしれませんが、夜中には昼夜の温度差でガードレールがこんこんと鳴くんですよね。これが歩きながらだとむっちゃ怖いんです。なんだか何かが追い掛けてくるみたいに感じちゃうんですよね。
日本で三番目のお山は奥穂高岳、北アルプスの名峰です。もう気持ちがそっちに行ってる自分が怖いです・・・(^^;
投稿: Fiby | 2014年8月 2日 (土) 10時19分
モヒャ━━((゜Д゜Uu))━━!!!!!!アブネ━━Σ(゚д゚;)━━!!
何はともあれご無事で戻ることができて・・ホントーに良かったです。このように気の遠くなるような登山でも可能にしてしまうのがFibyさんのすっごいところだというのが良くわかりました。
北岳・・・素晴らしい景色ですねぇ。お天気も良かったようで、天が味方してくれましたね。
次は日本三番目に高い山狙いですか。
今度はバスに乗り遅れないように・・・・(-人-;)
投稿: ミー | 2014年8月 4日 (月) 22時44分
ども、ミーさん、
おっしゃる通りなにはともわれってところかもしれませんが、リスキーなのは承知の上で対策をしたうえで楽しんでいるみたいなところはあったりします。
もちろん予定通りに事が進めばそれにこしたことはありませんが、アクシデントが起きたら、笑って終われるように苦行も楽しまないとっていうのが持論です。終われば笑い話で済みますものね。
最中はやっぱり辛いですが・・・(^^;
北岳はすばらしいお山でした。頂上尾根の東半分が雲に隠れていたので景色はいまひとつでしたが、南アルプスを一望できるのは日本第二の標高を誇るお山だけあるなぁと思いますね。
日帰りではちょっと厳しい登山になりますが、小屋泊まりで楽しまれるのも良いです。ご主人といかがでしょうか。
バスはもう乗り遅れないようにいたしますです、はい。
投稿: Fiby | 2014年8月 5日 (火) 21時36分
その後の筋肉痛などはありませんでしたか。
頂上のちかくまできて昼時では、どうしても、登らずには帰れませんよね。
投稿: クラウド | 2014年8月 8日 (金) 22時54分
ども、クラウドさん、お久しぶりです。
こんな弱小ブログをご覧いただいているようでうれしい限りです。
> その後の筋肉痛などはありませんでしたか。
翌日はヒザは大丈夫でしたがモモとふくらはぎの筋肉痛はかなりきました。翌々日には収まったので一過性のものでしたが、階段を歩くのにも難儀するような筋肉痛でしたね。まだまだ修行が足りません。
夜叉神から仙丈ケ岳まで縦走してしまうクラウドさんですから、私のようなヘマは笑止千万でしょうが、南アルプスの美味しいところを少しばかりいただいたかなという思いはあります。
> 頂上のちかくまできて昼時では、どうしても、登らずには帰れませんよね。
ありがとうございます。この判断ってとっても難しいですよね。シビアな状況下では一も二も無く引き返すべきかもしれませんが、終バスが行ってしまった後に残る選択肢に対して許容できるものがあるなら、まぁちっと無理してみようかなという判断も有りかなぁとも思ったりもします。
でも荒天下や雪山でしたらこの判断はアウトでしょうね。
農鳥山の名物小屋主が聞いたらどやされそうですが・・・(^^;
南アルプスいいですね。次は甲斐駒かなぁ。まぁ分相応に楽しんで行きたいと思いますです。
投稿: Fiby | 2014年8月 9日 (土) 20時22分