スズキの燃費試験における不正に思う
スズキは正直に報告しました
その意味をちょっと考えてみます
4月に三菱自動車製造の軽自動車においてカタログ燃費表示の計算の元となるデータを改ざんしていたというニュースが大きく報じられました。それを受け国交省は他の自動車メーカーにも同様の事例が無いか報告を求め、その中では唯一スズキが国が求める方式とは異なる方法で取得したデータを提供していたと報告したという事実が明らかになりました。
対象総数は210万台。私の自家用車もその中に入っております。スズキの公式発表に嘘は無いという前提でそのその発表の意味を考えてみます。
カタログに国土交通省審査値として表記されるJC08モード燃費が、当該自動車メーカーから提出されたデータを元に算出されていたという事実を公に明らかにしたという意味では三菱自動車の事件の意味は大きかった。この審査制度そのものは企業の性善説を前提に考えられていた仕組みなのですね。
しかしその信頼関係は三菱自動車の手によってもろくも崩れ、スズキまでもが自ら手を上げました。でもね、両者の話の中身はだいぶ違うんですよね。
国交省の求める方法とは異なる方法でデータを収集し報告していたという点については明らかに反則です。でもスズキがやっていたのは走行抵抗負荷算出の基礎となるデータを国交省指定の惰行法によらず、より環境条件の影響の少なく精度の高い、タイヤ・ブレーキ・トランスミッションなどの部品ごとに室内計測した走行抵抗値を積み上げたものを採用していたというものなのですね。しかも惰行法のデータもしっかり取っておいた上でのことらしい。
他業界でエンジニア職の端くれとして働くわたくしですが、この気持ちは理解できなくもありません。元来屋外にて天候等の環境条件に左右されるばらつきの多い惰行法の測定結果より、関連各パーツのフリクションを専用の測定器にて動的に個別測定したデータの積み上げの方が精度が高いのは明らかです。その上でスズキのエンジニアは国交省の求めとは異なるけれど、より信頼性の高いデータを報告することにしたのですね。
この辺は惰行法の試験そのものをやっておらず、目標燃費へのつじつま合わせの机上計算で国交省にデータ提出をした三菱自動車のケースと一緒にしてはいけない部分です。
スズキのワゴンRはカタログ燃費と実燃費の差がもっとも少ない自動車であったという雑誌の実走試験記事 がある。その時にもっとも差が大きかったのがいま話題となっている三菱車ekワゴンでした。
実際私のクルマの燃費はとっても良い。ターボ車ですがJC08燃費で27Km/L走るとされています。峠道飛ばして山行へ行って帰ってきて平均燃費で24Km/Lも出たこともありましたよ。燃費に関しては不満の無いクルマです。
別に提灯掲げるわけでもないですが、スズキが今回行ったことは、国交省の指示には反しても部品レベルでの特徴エンジニアリングやリバースエンジニアリングによって、より信頼性のある数値を導き出したいというスズキエンジニアの心意気に同意できるところがあります。
スズキが過去国交省に提出していたデータは方法は異なれどそれ自体の目的としては十分に達成できていたものと思われます。それは単純にカタログ燃費と実燃費の誤差が他社に比べ最も少ないという事実から追認することができます。時速5Km/Hのスピード違反も死亡ひき逃げ事故も違反は違反です。しかしながら全てを同列に扱うべきかはまた別の問題。
なおスズキが取った手段の選択に際して他のバイアスが掛かっていたかは私は知るよしも無いので考慮をしておりません。
それよりも今年の株主総会でも、今回の一件の釈明会見でもオサム会長出しゃばりすぎ。息子さんである社長がいるのだからもっと控えなきゃと思います。
スズキ一番の問題は親子で代替わりが出来ていない事。こっちの方かもしれません。
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今の車、三菱パジェロのロングエクシード
ガソリンV6の3000cc
カタログ燃費は8.2キロ・・・
偽装されていて実際は・・・・・もう最悪です。
投稿: 花の五六八 | 2016年5月23日 (月) 19時03分
花の五六八さん、
あれ?マツダのマービーから換えておられたのですね。ちょっと悪いタイミングでの問題の公表でしたね。
2トンを越える車重にV6の3リッターですから燃費を気にして乗る車でもないのでしょうが、でもあまり差があるとちょっと・・・ってところはありそうですね。
排気量アップでだいぶマービーとは乗り味が違うのではないですか?クロカン車は腹回りをこすることを気にせずにラフに入って行けるのがいいですよね。私のクルマなんてFバンパーと地面のクリアランスは150mmしかない。縁石越えるのも気を遣います。
投稿: Fiby | 2016年5月23日 (月) 23時14分