あこがれの剱岳 その2
前日のテン泊装備での立山越えはなかなかの行程でしたが本番はこの日。剱沢の野営場から剱を登り、下山してから残したテントへ戻り撤収、速攻で山を下り室堂発の最終トロリーバス16:30に乗るのが本日のミッション。万が一にでも最終に間に合わないとえらいことになるので、できるだけ前倒しで動く目標で行きます。
明け方午前3時過ぎ、起き出してテントの外を見やると一服剱や前剱にすでに取り付いている方々のヘッドライトが沢山ちらついている。すごい、彼らは剱山頂でのご来光狙いなのでしょうね。ここは慌ててはいけない。まずは腹ごしらえからが基本。
以前のアルファ化米の記事でコメントをいただきアルファ化米は餅米系がいいぞというアドバイスに従って用意したおこわですが、こいつはなかなかいけます。もっちりしていて腹持ちがよさそう。コッフェルで炊いて前日ラーメンの残りのシナチクとウズラ卵を加えていい朝食です。
真っ暗な午前4時過ぎにテン場を踏み出します。不要な装備は一切テント内にデポしていくので背中が軽くて嬉しい。
剣山荘あたりまで歩いてくると夜が白んできます。ここまでは予定通り。一服剱を登る先行者のライトがちかちかと揺れる。あの人達はレピーターなのでしょうね。初めての剱を真っ暗闇で登るなんてのはデンジャラスきわまりない。私はまだ命が惜しい年頃です。
前衛峰の一服剱に取り付いている頃に夜が明けます。雲が多いけどすばらしい朝焼けです。槍ヶ岳そっくりに見えるとがったお山は鹿島槍ですね。昇る朝日が神々しい。この一時は歩みを止めて見入ってしまいましたよ。
前剱から振り返るとはるか先に踏み出してきたテント場が見えます。けっこうきたなという感もありますがキモの部分はこれから。前方に5番クサリ場に取り付いている先行者がいます。見た目怖そうなクサリ場ですが足の置き場を選べば難しくはありません。
遠くぽっかり雲海に浮かんだ富士山が見えました。どこへ行っても富士山は日本のランドマークだなと思いますねぃ。
前方にアリのように人がへばりついている断崖が見えてきました。ここがかの有名な9番クサリ場 カニのタテバイのようです。なんだかひとがいっぱい・・・
近づくと渋滞しております。この渋滞待ちでおよそ30分。ちゃっちゃか登ってしまえば繋がる事も無いのでしょうが、やはりボトルネックになるのはツアーの団体さんの方々。
ここは百名山なのでそれを狙う方々にあっては避けて通れないお山。そんなツアー客を引率するツアコンはメンバーにセルフビレイのためにハーネスをレンタルさせ2丁掛けのカラビナを掛けさせて万が一に備えさせます。ここでは確保無くして手や足を滑らせれば確実に死ねるところですからね。その辺はわかりますがどうしてもそこがボトルネックになる。ひとりひとり説明をしながらやらせているのですからそれは時間が掛かりますわな。
剱岳に登りたいのは誰しも同じ。ここはじっと順番を待ちます。ちなみに山ガの皆さんは間違っても山スカートで剱に来てはいけませんよ。
私もハーネスと2tonカラビナ1丁を120cmループスリングで用意して来ましたが、今回はこの先のカニのヨコバイでのみ確保で使いました。重たい思いをして持ってきた割にはあまり出番は無かったなぁ。
カニのタテバイを越えればほどなくして山頂です。午前8時に山頂着。剱沢の踏み出しから渋滞を含めて3時間半ってところでした。
意外に狭い山頂です。人が立てる面積は槍ヶ岳よりずっと狭いと思う。シーズンですのでごったがえしております。近くの方にお約束の記念写真を撮っていただき周囲を見ると、天気はいいものの雲が厚く遠望は望めませんでした。でも上等です。三角点の石を探したのですが見つからなかったのが残念なところ。
30分ほど山頂を満喫してから下山に掛かります。次の渋滞は10番クサリ場 カニのヨコバイです。列は動かないときにはほんとに動きません。ネックとなるヨコバイ区間はおよそ水平距離で5 m程度。
画像の通り大したところでは無いのですが一部足元が見えないところがあるので不安な方はいるでしょうね。でも難易度は上で紹介した5番クサリ場と大差ないように思う。足元を見るから怖いのであって、次に踏む足場を確認しながら足を進めて行けば難なく通過できる程度のモノ。この渋滞とヨコバイ通過でおよそ1時間。
タテバイ、ヨコバイで1時間半のロス。進まぬ足にむち打って剣山荘までせっせと下山、500円のコーラで一服です。冷えたコーラが死ぬほどうまい。本来ならばここでご苦労さんして終わるところですがこの日はまだ先があります。この先30分歩いてテン場へ戻り、テントを畳み、身支度して室堂まで戻ります。終バスに乗れなければえらいことになるのはいつものことながら、今回はその影響度が高いです。
テントを畳んで野営場を出発できたのがおよそ13時、ここから3時間半以内で室堂へ戻らなければならない。最後のピークである剣御前へ登り詰めるとピカピカゴロゴロと共に大粒の雨が降ってきた。高山での雷はとっても怖いものです。その後室堂まで止む事は無く、必死に歩みを進めて終バス30分前に雨降りしきる室堂バスターミナルへと滑り込む。最後の雷鳥沢2260mまで降りた後の室堂までの登り返しはほんとにきつかった。この周囲にはきれいな池沼や白い噴煙上げるお山などがあるのですが、雨の中そんなものに気を止める余裕が無かったのは残念なところ。でも無事に終バスに乗れたから全てよし。
最終トロリーバスの乗客は登山客5人のみでした。山のようにたんまりといた登山者はもう1泊泊まりなんですかね。まぁそれが普通なんでしょうね。
しかし疲れました。GPSログをカシミールで計算させた2日間の累積標高差は3418 m。そりゃ疲れるわけです。海抜0 mから3400 mのお山を登って降りたと同じ訳ですものね。
上のGPSログを元にしたグラフを見れば分かりますが登っては降り、登っては降りの繰り返し。わたしあたりには辛いレベルです。
踏み出しの室堂の標高は2450 m、剱岳は2999 mですからたいしたことない・・・などと間違っても思っちゃいけませんぜ。
今回も学びました。無理な行程を組んではいけません。登山道渋滞等の不確定要素をしっかり盛り込んだ余裕のある行程を組まなければいけませんよね。
いけないのは学んでもそれがあまり生かされない事・・・岳 の三歩君も言っています。山で捨ててはいけないものは・・・いのち
それだけはキモに命じております。住宅ローンも残っているし・・・
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