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2019年9月30日 (月)

噴湯丘に奮闘する その2 (野湯付き)

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結果から言うとたどり着けました
  
でもすっごく大変でしたよ
 

続きです。竹村新道の見晴らし台から見下ろして噴湯丘周囲の位置関係はおおかた把握ができた。晴嵐荘から噴湯丘を目指す方は、まずこの見晴らし台に登ることをお勧めしたいですな。

テントに戻り身支度を整えます。伝え聞くところでは噴湯丘に至るまでに渡渉があるらしいので登山ズボンに登山靴ではナンセンス。海水パンツにTシャツ一枚というかっこうになる。渡渉直前までは登山靴で歩かねばならないけど川に入るときには持参のクロックスに履き替える。アタックザックには水とタオルとおやつ。デジカメとGPSをログっているスマホは川で転んでもいいようにジップロックに入れて防水する・・・
うむ、我ながら完璧なプランである (^_^)v

噴湯丘へ俺も行くぞという方のため今回のルート詳細を記録しておこうと思います。状況は変化しますので令和元年9月末の状況だということで・・・

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晴嵐荘前からスタートするとして、高瀬川を丸太橋で渡って右岸側(川の右岸左岸は下流域に向かっての右左)にまず渡ります。上流へ向かうと水俣川に掛かる吊り橋にたどりつきます。ここは水俣川と湯俣川の合流点、この2つの川はここから高瀬川と名前を変えます。晴嵐荘前の吊り橋は台風で流されてしまいましたが、この吊り橋が残っているのはありがたい。橋自体はけっこうくたびれていて足元は怪しいけど一気に渡ります。

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吊り橋を渡り湯俣川右岸側へ回り込むと濡れないで済む最も噴湯丘に近い場所へ行けます。無理をしたくない人はここで噴湯丘を眺めて終わりにしましょう。

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なんだか崖伝いにいけそうな古くて危なっかしい道らしきものがあったので行ってみます。

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残念ながら道が崩れてその先は行けませんでした。トラロープが切れていましたが以前は行けたのでしょうかね。

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ここからが本番です。渓谷なのでGPSの電波の通りが悪くログが暴れていますが上記を参考にしてみてください。私の場合は湯俣川の渡渉を3回繰り返して噴湯丘にたどりつきました。どうやっても股下まで濡れてしまうレベルの渡渉となるので沢登りの装備か海水パンツは必須かなと思います。渓流釣りなどで使うウェダーがあれば完璧ですが、そんな重たいものを担いでここまで来るのもいかがなものかと。

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まずは左岸側へ渡渉するのに良さげなところを物色します。9月10月は年間でももっとも水量が少ない時期のはずですがどこも急流で浅いところが無い。深みにはまると浮力で体が浮いて急流に一気に持って行かれる。緩やかな川での狩猟で鴨を仕留めた時にウエダーを着て回収に出向いてはいるが、沢登りをしない私はこんな急流の渡渉は初めての経験。深くても石を手でホールドできそうなところに目算を立ててまずはザックを置いて予行演習、なんとかなりそうだったので意を決して最初の渡渉点を渡ります。

幸いなのは湯俣川の名の通り、温泉が湧き出ている関係なのか水量は多いが川水があまり冷たくないこと。これはありがたい。お隣の水俣川はもっと冷たいのでしょうね。

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ただこれで済まないのが辛いところ。左岸側に面した中州を行けるところまで行くと次は右岸側に渡らないと先へ進めないところまで行きつきます。このあたりは渓谷であるがゆえに切り立った崖に囲まれ、なかなか思ったように先へと進めません。同じように二つ目の渡渉点を見つけて渡り、再度3度目の渡渉点を経て噴湯丘の存在する地獄と呼ばれる河原にたどり着きます。もうこの時点で腰から下はずぶ濡れ。

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いよいよご対面です。目の前にそびえたつ高さ3m以上はあろうかという噴湯丘は圧倒的な存在感がある。自然の力をひしひしと感じます。苦労してたどりついているのでその感慨もひとしおです。このようなきれいな円錐形を形作るためには長い年月を掛けて頂部から絶え間なく温泉を噴出する必要があったことでしょう。

12top13wakiadashi 崖に登ってとんがり帽子の頂部をクローズアップ。取って付けたような感じですがもう頭の噴出孔はふさがっているみたい。釣鐘みたいなボディを触ってみるとひんやりとしている。もうこの噴湯丘はすでに成長を止めているようです。現在源泉の噴出はこの噴湯丘低部の外れから続いていますが勢いはなく成長は望めそうもありません。

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ちょっと気になったのは東面と北面の崩れた跡。誰かが記念写真でも撮るために登ったかのような感じもある。誰もが来られるところでもないので指定天然記念物なのに保護規制のたぐいは現状何も取られていない。だからこそのすばらしさもあるのだけれど、今後立ち入り禁止等の処置が取られることのないように訪れる方にあっては良識ある行動を願いたいものです。

噴湯丘のすばらしさを満喫した後、地獄の湯俣川近くにある噴気ががもうもうと上がっているところへ行ってみます。

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いくつかのお湯の噴出孔があり熱湯ががんがんと吹き上がっています。ミニ噴湯丘が出来つつありますが、このサイズになるまでにいったい何年が掛かっているのでしょうね。これもすごい。

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なんでも湯温は80度以上あるそうでとても触れませんが、先人の方がこのお湯を一部引き込んで河原で石積をして野湯を作ってくれていた。周囲には誰ひとりいないし、こっちは海パンなので遠慮なく頂戴してしまいます。

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もう地獄ならぬ極楽です。豪快に噴き上がる噴湯泉を眺めながらの河原での野湯三昧は感無量。時折源泉が強くなってアチチになるけどこれも風情です。この日はトータルで20Kmほど歩きましたが、硫黄の温泉はお膝とふくらはぎにとってもやさしかったです。

誰も来ない秘境の雰囲気を満喫したら、再度三回の渡渉をして俗界へ戻ります。せっかく温泉で温まったのに冷えてしまうのも残念ですが仕方ありません。

テントに戻りましたが結局小屋番の方は現れずテント泊も私だけだったのでお代も払えませんでした。ついでに当てにしていたお水も手に入らないので100mほど離れた沢から汲んできましたよ。

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海水パンツを干しながら晩飯を。定番棒ラーメンにノリを加えて風味豊かなお食事です。この時期の北アルプス標高2000m以上のテント場では氷点下くらいに夜は冷え込むので凍えますが、上高地と同じくらいの1400mのここは快適そのもの。今年から導入したダウンシュラフが暑いくらいでした。

翌朝はテントをたたんで踏み出しへ戻ります。帰りはかったるかったので高瀬ダムでタクシーを拾いたかったのですが土曜だというのに姿が見えず、結局全部歩いてしまいました。2日間で35Km歩いてもう十分です。

Onsen1噴湯丘との出会いはまさに未知との遭遇でした。野湯もすばらしかった。ミニ噴湯丘を見て感じましたが、本家噴湯丘が高さ3m以上に成長するまでには途方もない年月が必要であったことでしょう。釣鐘のように大きな噴湯丘は日本唯一のもののようです。多くの方にこの感動を味わってもらいたいですが、噴湯丘によじ登ろうなんてことは間違っても考えないでくださいね。

天然記念物だからということではなく後世に伝える唯一無二のものとして、大切に残してあげねばと切に思うものであります。

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コメント

この記事を読んでいてこっちまでいい気分になります。湯に浸かっている風景は「あ〜〜〜〜!!!....」と声を出してしまいました。ここまでの道程。しかも誰もいない初秋の山中。途絶えたルート。もう言うことなしです。
ここ、渡渉以外は(タクシーを使うかどうかは別として)ピクニックレベルの私でも行けそう。野宿したい。
しかし、野湯巡りはこれで何件め?先回は箱根でしたっけ?師匠^^

ノブさん、

距離ばかりが長かった今回の旅ですが楽しい行程でしたよ。金曜日でしたが登山シーズンなのにだぁれもいなくてどこもかしこも独り占め。ついでに山小屋の番人もいなくて水の確保にてこずりましたがね。

GPSログの画像で第一渡渉点って矢印を振ってあるところのログがぐしゃぐしゃになってますが、ここいら辺で30分くらい行ったり来たり試に渡ったりと悩みまくっていたんです。噴湯丘も遠目に見られたし、ごめんなさいして帰るかとまで考えましたが最後は勢いで行きました。

こんな秘境だからこそノブさんには行っていただきたいです。タクシーを使えば往復12Kmの歩行を減らせますし、川沿いの登山道はハイキングみたいなものです。噴湯丘に対面する時と野湯に浸かる時だけ気合を入れれば・・・

晴嵐荘のテント場は気持ち良かったですよ。野宿魂をくすぐる風情もありました。

私の野湯経験は硫黄岳の野天風呂を含めても3回しかありません。でもこのワイルドな経験はけっこう癖になりそうです。婦女子禁制の世界ですね。

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