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2021年1月 8日 (金)

草津 草香温泉の野湯

Onsen1_20210108213501ちょっと前のお話
 
草津には面白いところがあります

1月8日より関東地方一都三県に再度の緊急事態宣言が出ました。不幸なことに我が神奈川県もその中に含まれております。日本全土に三回目のコロナの波が押し寄せている現状、基本能天気な私であってもさすがに緊張感を持って臨んでおります。国や県からはテレワークによって7割の事務所内稼働人員削減を目標として掲げられたこともあり、またもやテレワークを拝命。でも働けるありがたさを感じつつ自身の生産性を維持する努力は欠かせませんよね。

医療従事者や商工業者の方々が大変なご苦労をされているこの時期、不要不急のお出掛けはもちろんご法度。私の私的お出掛けは全てがそれに該当しそうです。地域経済に貢献できないのはまことに残念ではありますが、少なくともこの一ヶ月間は大人しくしているのが国民の義務ではありますね。

大人しくしているとネタも無くなる。そこで昨年のコロナ禍の谷間で出掛けてきた草津の野湯を紹介したいと思います。

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草津温泉と言えば日本温泉ランキングのベスト3 から外れたことのない群馬県の有名温泉。その泉質は猛烈な硫黄泉でPH値 はおよそ1 から2 だという。なんたって歯を浸しておくと一ヶ月で消えてしまうというから強烈だ。草津町のあちこちで源泉が湧き出ていて、豊富な湯量は外湯と呼ばれる無料の入浴場が20 近くあるのもすばらしい。温泉好きにはたまらない聖地なのですな。

ここ草津には白根山の近くに昔に温泉施設が使っていた源泉があるという。草香温泉という立派な名前が付いており、以前の温泉施設の風情は何も残っていないが沢を遡った先には湯量豊富な温泉が湧き出ているという。これは確かめておきませうということで、コロナの2020年県外移動自粛が解除されたのを機に出掛けてみました。

Main

草津の温泉宿は皆お高いので前日入りして貧乏くさく車中泊をすることにし、湯畑に近い外湯の地蔵の湯へ貰い湯に行きます。ここは比較的広いのでジモティの方々も多く来ていて、気を許してもらえると色々なお話が聞けてなかなか楽しいのですよ。

1butai_20210108224401お年寄りから古い草津のお話を伺った。その昔湯畑の正面にフランス座という特殊劇場があってダンサーは皆50 歳台から60 歳台という超ベテランぞろいだったという話とか、お爺さんが若かりし頃、湯畑を徘徊していてポン引きのおばちゃんに引っ掛かかり俺ぁ若い子じゃないとだめだぞと宣言したらもちろんピチピチだよと言われて連れていかれた部屋で待っていると、そのおばちゃんが化粧して出てきたとか・・・思わず顔も緩む話に花が咲く。

草津は古い湯治場だが御多分に洩れず歓楽街も備えていたのですな。今では健全路線でそんな雰囲気は微塵も感じられないが、先日の女性町議の罷免住民投票でも草津の名がまたもや世間に周知されました。歴史がある町では現代に至ってもエピソードには事欠かないようです。

そんなお話の中でも耳寄りな情報を手に入れた。お前さん明日はどこへ行くんだい?と聞かれて白根山の東にある温泉の源泉を探しに行くというと、草香温泉という名前が不意に出てきた。古い人は知る人ぞ知る温泉らしい。

なんでも草津有数の老舗旅館ホテル一井(いちい)が町と手を組んで開発したのそうだ。しかし林道の奥にあってアクセスに難が有り商業的にはうまくいかず、結局廃止されて今は当時の面影はなにも残されていないという。草香温泉とホテル一井の関係なんてどこを調べてみても出てはこない。やはりジモティの情報は値千金の価値があります。

さて野湯探訪です。草津スキー場前の駐車場に車を置いて踏み出します。この記事は無雪季でのものですが冬季には過去何度となくスキーに訪れてました。3年前の白根山の噴火によってゴンドラリフトと共に上部ゲレンデが廃止となり規模が今では半分くらいになってしまいましたね。山頂からの8Km のダウンヒルコースはもう望めないのが悲しいところ。今頃は大雪で大繁盛・・・という訳にはいかないのがやはり関係者にとっても残念でしょうね。

Route

草香温泉がありし日には車が奥まで入っていたであろう林道を歩きます。徐々に道が荒れてきます。すでに道路管理は放棄されているようでもうこの先は普通の車が走ることは無いでしょう。

Onsenba

その後の登山道を進み沢に突き当たるとこぎれいな木道橋がありました。話によるとどうもこの近辺に草香温泉が存在していたようです。この沢の上流域から温泉を引いていたとのこと。市街地でも温泉がわんさかと湧いている草津では、こんな山奥に温泉場を作ってもお客さんは来てもらえなさそうな気がします。戦略がちと甘かったようですね。私はここから沢の上流へ折れて源泉を目指します。

Sawanobori

この沢は毒水沢というのだそうです。まぁ確かに高PH の温泉水が混ざって流れているような沢では生き物も住めませんわな。沢が苔でよく滑る。何十回となく右岸と左岸を行ったり来たりしながら慎重に遡上していきます。先人の方々が残してくれた踏み跡やペイントマーク、捨てロープなどを有難く利用させてもらい大小の滝を巻いていきます。

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おぉ、なんだかそれっぽいところに出ました。温泉が湧いていますが見るからに熱そう。測ってみると49 度以上ある。これでは入れません。見ればその先には捨てロープが掛かっている。まだ行けそうだ。沢で靴をどっぷりと濡らしながらもよじ登りさらに上流へ。

Kusaka1

またもやそれっぽいところに出た。どうもこれが草香温泉の源泉のようだ。温泉の噴出しているのは3箇所。滝壺の湯、一の湯、二の湯と名付けた。まずは一番入りやすく野湯らしい二の湯から攻めてみる。温度は46 度、こりゃちいと熱いぞ。長くは入れないがここまで苦労しながら訪ねて来てそのまま帰る訳にもいかない。ではいただきます。

Kusaka2

来る途中スリップで右ひざを岩に打ちつけてしまい痛かったのだけど温泉療養ができました。一の湯も温度は同じくらいでしかも浅いため入浴には適さない。残るは滝壺の湯です。水深は1.2m くらい。流れ込む温泉のところだけピンポイントに温かく、他は沢の冷たさでこれはだめでした。北アルプスの河原の温泉のようにうまい具合に湯水が混合できればいいのですがね。

Kusaka3

誰も来ないので小一時間野湯を満喫したあと帰路に付きました。毒水沢の水量はさほどでもありませんが浮石も多く非常に滑りやすいです。沢靴もしくは防水性の高い登山靴が必要です。

Jyofu

帰りがけにもうひとつ常布の滝下の湯ってのも行ってみた。廃道となった接続登山道のクマザサのヤブ漕ぎにひいこら言いながらたどり着くと前日の雨のため増水してけっこうな水量がある。あの滝の裏側に湯船があるのだという。興味津々だけどちょっと水量的にデンジャラスなので今回はパス。

Log_20210108213901

野湯もこれで4 つ目。なかなか訪れることも難しいですがピークハントだけが山登りではないと目覚めたので、今後も機会を狙っていきたいなと思います。
コロナが収まったら草津よいとこ一度はおいでです。

 

 

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