大町山岳博物館
山登りは単純な行為であります。山に行きたいと思ったら山に行けばいい。装備だの技術だのは二の次三の次の話。登りたい山に向かって自分の足で歩く。基本それだけ。こんな単純な行為に幾多の人達が喜びを感じ、山は感動を与え、時として人々の命を奪ってもきました。山は美しく慈悲深く、そして容赦ない。そんな山の深さを丁寧に説明してくれる博物館がありました。展示品の撮影は許可されていましたので当時留めておいた画像で軽くご紹介したいと思います。
山の博物館なんて存在そのものが難しそうに感じますよね。どんなコンセプトで作られているのか興味しんしんでありました。
建物はお役所が運営いるだけあって立派なもの。このモダンな建物は映画「岳」の中では長野県警北部警察署としてロケに使われました。でも映画ではわざわざ画面を反転して使っているんですよね。肖像権とかなにか訳がありそうですね。
でも玄関前にあるカモシカ親子のブロンズ像は映画のシーンでも消されずに入っていましたよ。DVDや録画などを持っている方はぜひ確かめてください。カモシカのオブジェがある警察署なんておしゃれですよね。
屋内展示では大町市と北アルプスの関りを物理的、地政学的、歴史歴に紹介していてこれがなかなか面白い。北アルプスの鳥獣の展示はけっこうなボリュームがある。剥製の質も高くリアリティは高い。
特に気を引いたのがライチョウの生態紹介や展示。私も北穂高岳、鹿島槍ヶ岳、燕(つばくろ)岳で生ライチョウと会ったことがある。人をそんなに恐れない鳥なので、見掛ければ比較的近くで見られるのがうれしいところ。燕岳ではテント場にヒナがちょろちょろと出てきてかわいかった。
私の遭遇経験は夏山だけなので冬羽の姿は見たことが無かったので興味深く拝見。
歴史をなぞりながらの登山用具展示も面白い。映画「劔岳・点の記」でも出てきましたが日本山岳会発足当時(明治後期)の登山装束っておしゃれな街着みたいな格好だったのですよね。当時はお金持ちの遊びだったのでしょう。昔のピッケルはやたらと長かったんですなぁ。現代登山装具はモンベルがスポンサーになっているのか同社のグッズで固められていました。
屋外には飼育棟ってのがあっていくらかの鳥獣が飼育されている。やはり目玉はライチョウですね。特別天然記念物に指定されていて北アルプスと南アルプスの一部にしか生息せず、全国でも5か所のみでしか生育されていないのだそうな。この個体は雌かな。羽は冬羽と夏羽のミックスって感じ。もこもこしていて暖かそうです。
絶滅危惧種のためここでは繁殖も手掛けているとのこと。中央アルプスではすでに絶滅したと言われている。この愛らしい鳥が日本アルプスのあちこちで見られるようになることを切に願っております。
山岳博物館、なかなかいいです。併設する喫茶コーナーのオーナーが、登山のベテランでも知らない人がけっこういるんですよと言っていた。山のぼらーもそうでない人もぜひ覗いてみるといいかもですよ。
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