白馬鑓ケ岳と鑓温泉(ライチョウ付き)
山雑誌PEAKSの2012年10月号が手元ある。もう10年前のものだが北アルプス各所の山温泉が特集されていて捨てるに捨てれなかったもの。これに触発されて湯俣温泉で野湯三昧してしまったのは内緒。
紹介されている山の温泉は数あれど、一度は行ってみたかったところが白馬鑓ケ岳の稜線下にある鑓温泉であります。ここは鑓温泉小屋が管理し場所が雪崩の巣のようなところだそうで夏山シーズン前に小屋を建て、シーズン終了と共にまた解体するを繰り返しているところなのだそうだ。ほんとにご苦労なことです。その山間の秘湯にたどりつくだけでも踏み出しから片道4時間以上。温泉だけを目当にしてもいいくらいだけど、欲張って白馬鑓ヶ岳登頂もセットにしてテント泊一泊で考えました。
猿倉の駐車場に車を置いて午前4時過ぎに踏み出します。途中まで白馬岳へ向かうルートと一緒です。タイトル画像にある2013年に白馬岳を登った際の案内板が今でも残っていてなんだか懐かしかったです。
夜明けは気温が低いはずなのに山Tシャツ1枚でも汗だくになる。鑓温泉小屋ではお水は飲み放題のようなので背中に水は積んではいないが北アルプスの登山道の険しさは伊達ではないですな。登山道周辺にはトリカブトが沢山咲いていました。
小ピークである小日向のコルを抜けます。鞍部ですので今度は下り。下ったらまた登りとここから鑓温泉まで痺れるアップダウンが待っています。
開けたところから遠くに鑓温泉小屋が見えました。まずはあそこまで行き着かなくてはいけない。噂にたがわずすごいところに小屋が建っています。温泉の湧き出ているところに小屋を建てなければならなかったという事情はあると思いますが頭が下がる思いです。テント場に平らな面があるのか心配になるくらいの断崖に見えますね。
途中いくつかの沢を超えますが大きな沢ですと夏場は気化熱で涼しくて気持ちいい。北アルプスらしさを感じますね。上の画像は杓子沢。
20分というペイントマークがありました。私は30分掛かりましたけどね。
鑓温泉小屋に到着。平面距離6.5km、標高差800mを登ってきてもうすでにひと山登った気分です。周囲は湯気もくもくで温泉宿の雰囲気。この源泉掛け流しの排水もすごい。
こんな調子でオーバーブローした温泉水が沢へ向かって流れていきます。ほんとに湯量豊富なんですね。なぜこんな険しいところに山小屋を作らなければならないかを理解しました。
チェックインに出向く際に軽く周辺を拝見します。テントサイト横には足湯があります。これだけでもありがたい存在だと思うのですが、やっぱり売りは開放的な露天風呂。これはすばらしい。この露天風呂はテント泊者は別料金で1000円、テン泊代と合わせて4000円になるけど金額の問題じゃないっすね。ちなみにPEAKSに書いてあった10年前の入浴料は300円だった。
テント幕営はお風呂に近いところをゲット。ここなら込み具合を確認しながら入りに行けます・・・って言うかテント場から風呂が丸見えです。今すぐにでもお風呂に入りたいがまだ白馬鑓ヶ岳登頂というミッションが残っている。さらにここから標高差800mを登らないといけません。テントを建てたらアタックザックに最小限のグッズを詰め込み身軽になって向かいます。
小屋裏には大きな雪渓がありました。あちらこちらで崩れていますが小屋周囲では温泉が湧き出しているところが沢山あって雪も溶けてしまうところもあるだろうなと推測。小屋のお水も周辺から取水するとお湯になってしまうので沢の上流高いところから引水していました。これがまた美味いんです。まさに北アルプスの天然水。もちろんボトルに携えていきます。
北アルプスらしい鎖場はお約束。ガンガンと進むと森林限界を超えます。
まずはあの稜線に届かないといけません。まだ先は長い・・・
稜線に出ると白馬鑓がでぇんと出迎えてくれます。こちらは北面になります。花こう岩?の山肌は雪を被ったように白くてきれいです。ちなみに以下は以前に八方池から見た南面の様子。同じお山でも表と裏で違うものですね。でも白馬三山の中でもその尖った存在感と美白さ加減は白馬鑓が際立っています。白馬岳の方が大雪渓と百名山効果で人気なんですがね。
ここまで登ってくるともうくったくた。後は勢いで行きます。ザクザクの最終アプローチをジグザグに登って山頂へ。
白馬鑓ケ岳山頂です。真綿のような雲海もまぁきれいですこと。
ガスが切れて杓子岳が顔を出しましたがほんの一瞬でした。もう昼を回っているのでガスが濃くなってきている。絶景を目に焼き付けて鑓温泉へ戻ります。テントに帰ったら温泉だぁと人間目的があると頑張れるものですね。
帰路標高2600m付近で霧の中だったですがライチョウのお出迎えを受けましたよ。
なんだかこっそり覗いています。この画像が霧の中で一番クリアに撮れました。
4羽のファミリーで親鳥はバサバサとやってました。ライチョウの広げた羽を見る機会はいままでなかったのですが、風切羽から先は夏羽でも白いんですね。
霧で条件は悪かったですが期せずしていいものを見させてもらいました。
猿倉から平面距離12.8Km、標高差1600mを登って降りて15時半に鑓温泉テント場に戻ってきました。いやぁ疲れたっす。でも私には楽しみがあるのだっ・・・っとテント場から露天風呂を見上げると水着を着た初老のご夫婦が入っていた。まさか私の粗末なものをご婦人に晒すわけにもいかない。女性の入浴時間帯は19時半からとなっていてその際は男子禁制となる決まりだと聞いた。露天風呂に水着ってどうなのかなって思うけどまぁいいや先にメシにしよう。
先日モンベルでゲットした山の棒ラーメンをさっそくいただきます。同じ北アルプスでも7月に登った西穂高では虫が酷くて外でメシを作れなかったがここではそんなこともなく実に快適。
山小屋では17時頃に夕食の時間となる。この辺が狙いかなと踏んでいたら案の定その頃になると露天風呂に誰もいなくなった。しめしめとばかりにお風呂をいただきます。
泉質は温泉らしい硫黄泉、ただし硫黄岳の野天風呂ほど硫黄分は強くなくいい感じ。湯温は体感で41度から42度の適温です。こんなベストな湯温の温泉に浸かれるとは思ってもいませんでした。ちょっとガスって絶景とまではいきませんが時間差攻撃で温泉独り占めです。ぽっかぽかに温まって快適な夜を過ごし、翌朝4時に再度朝風呂をいただきます。
星のひとつも見られれば良かったのですがちょっと曇っていたようでアウト。明りも無く真っ暗闇ですがテント用ランタンがいい仕事をしてくれました。誰も来ないのでまたもや貸し切り状態。テント泊山登りの途中で朝晩温泉に浸かれるだなんて夢のような話です。
ひと風呂浴びたら朝飯です。朝5時の空は曇っていて朝日は望めませんでした。お隣テント氏はもうこの時間で居ません。彼は白馬岳へ縦走し栂池高原に降りるのだと言っていましたがすごいパワーです。私はもう満足しているので下山します。
2日で平面距離19.2Km、カシミールで計算させた累積標高差2230mはけっこうなボリュームでした。これも温泉があったから頑張れたっていうのもあったかも。そうそう会えないライチョウとの出会いも嬉しいプレミアム。山の温泉巡り、癖になりそうです。
槍ケ岳、鹿島槍ヶ岳、白馬鑓ヶ岳とヤリシリーズも進んできた。北アルプスには涸沢槍ってのもあるらしい。生きている限りまだ機会はある。行けるうちに行っておきたいですなぁ。
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