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2023年5月31日 (水)

猟銃使用事件に思う

痛ましい事件がありました

なんともいたたまれないです

当ブログで今から15年ほど前に書いた記事が人気記事ランキングの上位に来ていた。ライフル射撃場にてスラッグ弾という強力な弾を撃った際のお話だったが、折しも長野で起こった猟銃使用事件で使われた銃器がハーフライフル銃であり弾丸はスラッグ弾であったとの報道が為された時期。キーワードサーチで「スラッグ弾」を検索してヒットしたのがたまたま当ブログの記事だったのではと推測している。

事件の詳細については徐々に明らかになってきているが常軌を逸した事件であることは疑いのないところ。凶行により多くの人命が失われた痛ましい出来事だった。容疑者は精神的に正常では無かったのだろうが、全国に8万人がいるという公安委員会より銃器所持の許可を得て適正に運用している者に対しても今後は世間からの厳しい目が向けられることは容易に想像できる。

銃身内部にライフルと呼ばれる螺旋の溝を切ってあるのがライフル銃だ。ハーフライフル銃とは散弾銃の銃身全長の半分未満に専用の弾を撃つためにライフルが切ってあるものである。日本の銃刀法では散弾銃の銃身の半分以上にライフルを切ることは許可されていない。ハーフとはいえ弾丸に回転を与え命中精度を高める鹿・猪など大物猟専用の散弾銃となる。

このハーフライフル銃は散弾銃の分類ではあるが構造上散弾を撃つことができない。装弾はサボット弾という単弾頭の専用弾を使う。散弾銃は通常スムーズボアといって銃身内部はパイプのように滑らかなので単弾頭の場合は弾頭に溝が彫ってあるスラッグ弾を使う。このスラッグ弾をハーフライフル銃で撃つと銃身内のライフルとスラッグ弾の弾頭溝が干渉して弾頭外周が削れてしまうために、専用のサボット弾というライフル装弾に似た弾頭を持つ特別な装弾を使うことになっている。

大したことではないのだが報道ではこの辺を名称的に混同しているように見受けられる。銃砲店での解説映像でもスラッグ弾で説明していた。ただサボット弾はサボットスラッグと呼ぶこともあるのでまるで間違いだとは言えないのだが。

ハーフライフル銃は非常に用途が限定された銃器であり所持している者も国内では限られていると思う。容疑者は近所にあった射撃場によく通っていたそうだがそこはお皿を撃つクレー射撃場であり犯行に使われたと言う銃は練習でも撃つことができない。サボット弾も銃と同じく特殊であり高価なものは一発1000円近くにもなる。狩猟もしない同容疑者がなんでそんな特殊な銃器と装弾を所持していたのかは理解しがたいところでもある。

今回の事件の発生をもって銃砲所持許可制度が見直されさらに厳格化するのは避けなれないだろう。現状においても十分に厳しいと感じてはいるがこの先も今のままということでは世間も許さない。安全な社会生活のため危険な因子は事前に排除するのは当然であると思う。それと同時に既存許可者に対する所持銃の丁数制限や更新時の審査条件の厳格化などが行われる可能性がある。私も推移を見守ると共に十分に襟を正していきたいと思う。

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