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2024年7月10日 (水)

博物館めぐりその2 聖博物館

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これまた特異な博物館

色々考えさせられる施設です

安曇野ちひろ美術館でいやされた後はカミさんには私の興味に付き合ってもらいます。長野県麻績(おみ)村にはなんでこんなところにこんなものがという村立の博物館があるという。以前から気になってはいたのだが我が家からは300Kmものかなた。チャンスを虎視眈々と狙っていたみたいなところはあります。

長野県松本市から新潟県新潟市まで延長300Km以上を誇る国道403号の途中、くねくねと曲がったワインディングロードの先にある聖湖に面した斜面にある。冬場は閉館するそうで雪のシーズン中はすぐ横にあるスキー場が村の収入源になるのでしょうね。今から60年ほど前には当時の皇太子も立ち寄られているようで由緒正しき博物館のようだ。聖なる博物館とは名前がいいじゃないっすか。

Gun F104

聖湖から延びる山の稜線に脈絡のなさそうな展示がなされている。航空自衛隊の退役した古いジェット機や戦艦陸奥の主砲。中央西線を走っていた蒸気機関車などが置かれている。平面なら展示も楽だろうがこんな高低差のある段付き土地によくぞこれらの重量物を運び込んだなとそこからして驚く。別に麻績村に航空自衛隊の基地や飛行場があるわけでもなくもちろん海もない。旧国鉄の鉄路もずっと離れたところを走っている。ここでこれらを展示するべき理由が見当たらない。存在理由からして疑問な博物館は初めてだ。

どうも似たような疑問を抱く閲覧者は多いようで、受付のおばちゃんに尋ねると4年ほど前の毎日新聞長野版のコピーを分けてくれた。それによると故人である旧村長の尽力が故なのだそうだ。戦時中に航空兵の教官だった旧村長は航空自衛隊に顔が利く関係で機体の無償貸与を得たようだ。同様に陸奥の主砲は遺族会から蒸気機関車は国鉄から強い押しで招致することができたらしい。
まぁ金持ちの個人が道楽でやるのならまだ分かるが、予算規模の小さな村がこのような大型展示物を縁もゆかりもないこの地に運んできて博物館を作るという発想もさることながら、予算審議をする村議会では村長の独断専行にストップをかける議員さんは誰もいなかったのかねとも思いますな。

F86d

遠めに見れば存在感のある展示だが近くで見ると痛みも激しい。年間どれだけの集客があるのかはわかりませんが私が行った日曜日でさえお客さんは片手ほど。維持管理が村の財政の重荷になっていなければいいのですがね。これだけの施設は畳むとしても大変だと思う。無償貸与されている各種の展示物を所有者に返すだけでもえらいことになるので続けるしかないのかもしれませんね。

Mach

上の画像はF104Jの展示の横にあった説明書き。読めばマッハ2.0を約1390Km/時だと書いてあるが正しくは2448Km/時だ。だれも指摘せず間違いを正すこともなく何十年も経っているのでしょうね。こまけぇこたぁいいんだよ的なおおらかさを感じさせます。

7691

中央西線の木曽福島機関区に所属していたD51 769号機です。その昔てっちゃんだったころ撮った同じ木曽福島区所属で現役時代のD51 401D51 775は当時の写真が残っていた。物心がついた後に実機と再会して感慨深かったが、多分769号機とも中央西線で会っているような気がする。でも手持ちの写真では確認ができなかったのは残念なところ。この車両は屋根もあり保存状態は悪くなさそうだ。

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一生懸命油さしをしている若手に出会った。ご苦労様ですと挨拶をするとボランティアで整備をしているのだという。頭が下がります。ボランティア親方はJR貨物の高崎区で働いている現役だそうだ。こりゃ心強い。将来は圧搾空気を使って動かしたいのだと夢を語ってくれた。神奈川県の山北町には同じような手法で動くように復活したD52がある。そこまでの道のりはかなり険しいだろうと思うがほんとにがんばってもらいたいですな。

Engine

屋内展示もあるがこれがまた屋外と同様にフォーカスが絞れていない。千人羅漢像の展示や鉄道グッズ、飛行機のエンジンなどなんでもアリって感じ。

門外漢に言わせていただくと客観的に見てやはりこの博物館は人口2000人の麻績村にとって不相応のものに映る。せっかく聖湖を望める棚田状の段々土地があるのだから進入路を整備して至近にある小さなオートキャンプ場を拡幅できていたら、背面にあるスキー場と合わせて通年通して集客ができる立派な施設にできたのにと思うとまことに残念。議会民主制の日本にあって村という閉ざされた地方自治体の中で30年間君臨した首長の意向がここまでまかり通るというのがある意味驚きです。今後も村の負の遺産とならないことを切に祈ります。

ほんとに一風変わった博物館でした。公営の博物館たるもの必然性が希薄でも存在することができるという例を教わった。村の財政健全化ためにぜひお近くを通られる際にはお立ち寄りください。入場料は300円ですよ。

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