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2025年2月28日 (金)

畳むに畳めないスキー場

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スキー場経営も受難の時代
 
今後どうなっていくのでしょうか

長野県の南部にあるエコーバレースキー場。車山高原スキー場とブランシュたかやまスキー場の間に挟まれた硬派向けスキー場として繁盛していた歴史があります。周囲は姫木平の別荘地が広がり静かなリゾートの雰囲気があるところです。

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スノーボードが生まれたまだやっかいもの扱いを受けていた黎明期、このスキー場ではライセンス制を導入していち早く国内スノーボーダーにゲレンデを開放したことでも知られるパイオニア的存在でした。でも今シーズンは営業をしていません。今シーズンどころか営業休止を始めてからすでに5シーズン目に入っていて経営母体はもうやる気が無いようにも映ります。5年もほったらかした施設は営業できる状態に戻すのに大変なコストが掛かるのは誰の目にもわかることですよね。

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このスキー場は第二次スキーブームが去って経営が左前になった際、スキー場立て直し屋のマックアースによって再建が図られましたがうまくいかず、2019年にブルーキャピタルマネージメントに譲渡。その際にマックアースが譲渡先を公表しないという胡散臭い取引があったものの2019-2020のシーズンはなんとか運転リフトを減らして営業しました。その次のシーズンからはコロナ禍で営業休止してそのまま毎年休止のアナウンスがずっと繰り返えされています。

以前はよく出向いたスキー場です。先日ちょっと立ち寄ってみましたが雪はたっぷりあるのにクローズの看板がもの悲しく掛かっておりました。こんなに毎年休止宣言を繰り返しているのなら気持ちよく廃止して損切りすればいいじゃないかと思いますがそうは単純にいかない事情があるようです。
この種の大規模スキー場はだいたい国有林を借りて営業している。もしスキー場を廃止して国に土地を返すためには原状復旧をしなければならずゲレンデ造成のために伐採した樹木を植林して元通りにして国と契約した瑕疵担保責任を果たさなければならないという大前提がある。経営が立ち行かなくなって手持ち資金が枯渇し閉めたいと思っているのに、さらに施設を撤去して植林までしなければならないなどとは中小規模経営の法人では不可能に近い話。かつて日本一の数の系列スキー場を有していた西武(プリンスホテル)では廃業したスキー場での植林をいくつか行っている事例はある。でも実際畳んでいるスキー場のほとんどは経営破綻して法人が消滅しているところなんですよね。経営会社が無くなってしまったとあっては国も責任を被せるところが消滅し手の打ちようがなくなるというのが実情かな。エコーバレーの経営元はその名のとおりグローバルな投資会社だ。幽霊会社に譲渡して計画倒産などという作戦は林野庁が許さない。日本的なお涙頂戴のような心情論は通用しない企業としてはこのような不良債権は転機が訪れるまで現状凍結のまま推移させるしかない。買い取ってやるよという奇特な法人が現れない限り今後も休止状態が続くことでしょう。

価値観が大きく様変わりしていつの間にかスキー関連は斜陽産業の一角に位置するところとなってしまった。なにをするにもお金がかかる昨今、なにもコストを掛けてわざわざ遠くの寒いところに遊びに出向かなくてもいいじゃないかという発想も解る。今現在スキー場で盛り返してきているところは総じてインバウンド需要に頼るところばかりだ。ラーメンや天ぷらそばが3500円でも安いと思える海外の富裕層にはまだまだスキー需要がある様子。ただこれは日本国民のレジャーの姿ではない。スノーボードが生まれた時のようにオピニオンリーダー的な若者層がスキー場に向かおうという理由付けのできるなにかインパクトのある発明がないものかと思う。せめてわたスキみたいな映画でもまた作って貰えればなぁ・・・

Out私はへたっぴながらもやっぱりスキーが好き。洒落にもならないけれどまだまだシーズンに何度かは行っておきたいと思うものです。

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