群馬 アダルト保育園(多目的ガレージ カーロマン)
群馬県道46号線の山間部を軽快に走っていると道路沿いの前方視界に異様な光景が入り込む。ここはその名をアダルト保育園という。今ではgoogleマップにもマッピングされるという有名地であるが名称からして怪しさ爆発。うわさを聞き及び一度は見ておきたいと言う単純な好奇心から遠路訪れてみた。ちなみに看板には巨大石灯篭竹笹庭園入口とあるがこれはフェイクである。
まずはトップ画像にある看板の数々。県道横が公式な入り口になっているらしい。ここから先は民地であるので地権者の同意がなければ不法侵入になってしまうがどうもご許可が必要であるような雰囲気はない。NHKを除く各民放キー局や地方局も取材に来ているようだ。こりゃ有名にもなりますわな。
この民地周辺は壁で覆われておりそこからして芸術感あふれる情景が展開されているのだが、県道を隔てた向こう側にある建屋がどうも母屋の雰囲気がある。さすがに住戸とおぼしきアトリエ的な建物側へ寄ることは控えたがこちらもにぎやかな風情ではある。どうもオーナーは庭師を天職とされているようだ。芸術的センスの源はそんな職業からも来ているのだろうか。

都会の住宅地でこんな展示でもしようものなら大騒ぎになってしまうはず。群馬県の山間部という立地条件はその芸術性開花の過程において地政学的に大きなメリットであったと推測される。
さて拝見してみよう。敷地境界を巡るアートの数々にまずは圧倒される。
これをアートと呼んでいいものかは異論もあるかもだが私は間違いなく芸術であると申し上げたい。なんでもない廃棄物が集合するとアートになるというあれである。殴り書きなテキストもそれぞれに意味深だ。
その昔、ヘルメット集団は全共闘世代には見慣れた光景でもあったと聞く。その学生運動もどきと赤文字の看板テキスト内容をどう関連付けるかが見学者への最初の試金石となる。そう、ここは常にビジュアルを通して見学者に問い掛け続けてくるのである。
赤文字で書きなぐったような看板表記方法はかつて60・70年安保の時代に大学キャンパス内のいたるところにあったアジ看板に通じるものがある。作者は名だたる活動家であったのかもしれない。(想像)
道路境界の民地側から発せられる強烈な主張を全身で受け止めつつ端まで歩くとこの施設のタイトルが現れる。以前は多目的ガレージ カーロマンという屋号であったらしい。私にはその名称の方がしっくりくるのだが変更の経緯については不明。
アートたるものは総じて人間の感性に訴えてくるものと理解する。ここに於いては訴えるインパクトがあまりにも強いがために、見学に際し常に頭脳を最大限に回転させ煩悩を超越することを求めてくる。ただし看板の好奇心の定義三箇条には激しく同意したりする。
”甘楽町第八区住民センター” なる看板も掲げてあるが当所は地域住民の集会所という機能も併せ持っているのかもしれない。ここで集会を開けば話も弾みそうだ。
敷地内に入らせてもらう。全共闘にいちゃん達の背面は上の画像のような状態だった。なるほど、ゴルフバックとは考えましたなぁ。よく見ればゴルフクラブを持った人形もいる。ゲバ棒の代わりか。
主砲46サンチ的なオブジェが並ぶ。いったいどこから持ってきたのかは不明なるもこの一角あたりのみ展示物のテーマ性が維持されている。これでもかと一見無作為に配置されたようにも思えるオブジェの数々には一貫した統一性が存在するのだ。〇〇〇というものだが・・・
ご神体が鎮座めされている。テキストはいわゆる下ネタのオンパレードであるのだが不思議とわいせつ感が涌いてこないのはその芸術性の高さが故であることは間違いない。
廃棄された幼稚園の遊具もこの作者に掛かればアーティスティックなオブジェへと変身する。キリンの股座に埋め込まれたスロットマシンが屋号に恥じないアダルト感をかもし出しているのがお判りいただけるだろうか。
オカマである。誰が何と言おうとオカマである。久々の正規表現の登場に安堵するのだが、普遍的な公平性を持って配置したと思われる白い作業用ヘルメットの意味合いにしばし悩む。
群馬県は言わずと知れたスキーの聖地。多くのお家にはスキー靴のひとつふたつは常備品としてあるものと想像する。ただなんの変哲もないスキー靴がアートへと変貌するとき、そこには意外性以外の評価が出来ないなんとも摩訶不思議なイメージが出来上がったりする。ミッキーマウスのどや顔がそれを物語りタヌキが腹鼓でエールを送る。ブルガリアヨーグルトも得体の知れないものを乗せられてさぞや困惑していることだろう。
屋根のある屋内展示も拝見してみよう。少々カビ臭いがモダンアートと呼ばれるジャンルには多少うさん臭いものも存在するのでカビ臭さは許容範囲。シングルベッドにてお休みになっているお人形。とても貴重なものだそうだがこれはちょっと怖い。蛮勇で鳴らす私でもこのピンクの毛布の中身を確認する勇気を絞り出すことはできなかった。
だんみつの部屋なるコーナーもある。見ていけという強力な推薦コメントがあちこちに書き記してある程なのでよほど壇蜜が好きなのだろう。作者の壇蜜愛が感じられるが、なぜにひな人形がお供えしてあるのかは最後まで謎であった。
ところどころにオーナーの年齢に関するヒントがあって、どうも当年とって83歳であるらしい。卓越したセンスもさることながら、これだけのものを作り上げるそのバイタリティには心底敬服する。現状維持だけでも大変なご苦労が有ると思う。入場料を取ったり(取れるか)寄付を募ったりクラファンで賛意を求めたりしている形跡もない。自己実現のためとはいえ頭が下がる思いだ。
しかしながら芸術性の高い施設ではあると言うものの、この先ご本人が高齢故に芸術家を引退された後も家族がこれを引き継いで続けてくれるという可能性は確率的に見て天文学的に低く、その明るい将来像を微塵たりとも想像することはできない。もし自らの目で見てみたいとお思いになるあなた、ぜひ早めの見学を強力にお勧めしておく。
知恵熱にうなされながらもモダンアートに酔いしいれた良い一日でありました。
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